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「二宮君………。」
今日もやっぱり
私より先に来てる
変わらない放課後の裏庭
和也「ん、今日は遅かったね。」
「今日、雑用頼まれちゃって……。」
ごくごく自然に いつもを装う声色を必死で保つ。
和也「相変わらず断れないのね(笑)。」
「ん…ね、昨日の野球なんだけど……観た?」
和也「残念(笑)、木曜でしょ?その日の7:00は母ちゃんが占領してるっつだじゃん。掃除や料理で得するテレビ、みたいなやつ。」
「へ、ぇ……それって二宮君は観てたの?」
和也「いや?でもそれを見てる母ちゃんは観てた(笑)。」
嘘だよ
「その番組、うちのお母さんも観てるの。」
和也「ふぅん、やっぱ主婦に役立つ情報満載だって言ってたもんね。」
「昨日ね、8:00から始まる方の番組のSPでそれ、やってないの。」
ピタリ、と空気が止まる感覚がした。
初めて 彼を怖いと思った
だって 私を見る今の彼の眼は
とても冷たくて 鋭かったから
「いつだって二宮君はここにいてくれる……でも、時々私が1組の教室を通っても、全然二宮君を見かけない……。」
彼は、何も答えない
更にそれが緊張や恐怖を増幅させるけど
それでも 止められなかった。
「最近、体育があっても女子の声が聴こえないし週に1回は絶対に聴こえてた二宮君の噂話も全然耳に入らない。」
和也「だから?」
凍ってしまいそうな 感情の無い声
「二宮君………学校来てない、よね?
それに、多分理由はわかんないけど
きっと…………家にも帰ってない。」
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作者名：千也 | 作成日時：2016年6月12日 19時
