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潤君がポケットに入れずにずっと持っていたスマホからは
大野『お〜、一字一句しっかり聴こえた(笑)、ついでに俺の傍に録音機もあるからまた聞きたかったらいつでも聞きに来いよ〜。(笑)』
潤「ちゃんと持っててね〜、会長と理事長にもしっかり聞いてもらわないと〜。」
トン、と少し湿った地面に
持っていたはずのシルバータイピンが落ちる小さな音が聴こえる。
初佳「さっきはどうも、世間知らずの年上に権力の強さ大切さを説いてくれてありがとう(笑)、それを身体を張って今のアンタは証明してくれたって訳ね♪
もっともっと広い世界の高い所で無かったことにできる。
ならもっともっともっと広くで大きい世界の高い所で公にドーンと出すこともできる。
あの会長ご子息が証人ならね。」
さっきの余裕とは180°違う 絶望的な表情で
ドスン、と鈍い音を立ててその場に崩れる藤堂君
「藤堂君。」
ビク、と今までで一番大きい反応を見せて
怯えた表情を私を見た
正直怯えたいのは貴方の非道な行為なんですけど
「一番初めに言った私の友達のお願い事、覚えてる?」
藤堂「…………。」
怖さで震えて言えないのか
それとも忘れてしまっているのか
口から聴こえるのは不規則な呼吸と嗚咽だけ
「"事故を起こして入院させたのに、無かったことにしてごめんなさい。"別にそれさえ守ってくれるなら、学校にも警察にも言わないし公表もしない。」
潤「大野さんは心が広いからな〜(笑)、あ、ちなみに俺とは長年の付き合いなもんで、俺の大事な彼女の大事な妹の言うことだって聞いてくれるんだよな〜。」
初佳「ま、後はニノミヤ君が許すかどうかだけど、ね?アンタの言う通り死ぬってことがあるならもう選択肢は無いけど?」
「命に別状はないもん…。」
潤「だ、そうだ。今お前がやるべきことは……わかるな?」
涙目でただコクコクと頷いて
殴りたくなった気持ちがようやく薄れていった。
「……それができたんなら、貴方の言う通り二宮君が退院しても無かったことのようにしていい。二宮君が許せば、だけど…。」
藤堂「……ゎ、かっ……。」
フラフラと立ち上がって踵を返す。
潤「もう大丈夫だろ。いざとなりゃ俺たちがある意味広い世界で高い所に立ってる奴らだわな(笑)。」
ポン、と優しく
潤君が私の頭を撫でた。
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作者名：千也 | 作成日時：2016年6月12日 19時
