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ピク、とさっきよりも顔が強張ったような気がする。
「主犯かどうかの証拠は無いにしても貴方と二宮君が会っていた事実は確実。それから先はさっきも言ったけど、同じくそこにいた人たちから話を聞くから。」
潤「あ〜、多分絶対皆口揃えて『藤堂君がやりました!』って言うだろうな〜。」
初佳「理事長の息子って肩書きさえあれば、屈強な野球部も柔道部も敵うはず無いしね。仮に貴方が主犯じゃなかったら言葉一つで喧嘩の一つや二つ、すぐ止められるでしょ。」
藤堂「………貴女のおっしゃる通りですよ…。でもだからこそわかるでしょ?詰めが甘いって。」
「………―――――ッ。」
一瞬
焦りを感じたように見えた声が
徐々に余裕に変わる。
・
藤堂「理事長の息子?主犯が僕?証拠がタイピンで十分?
それ以前の問題だろ?仮に野球部の奴らが、柔道部の奴らが主犯だったら目撃証言の一つや二つで即刻退学、停学処分を喰らうのに、何事も無かったかのように、"アイツ"なんて最初からいなかった、穏やかな学園ライフを皆して送ってる。
それが"証拠"であって、でも誰も証明できない。
ニュースでいじめが報道されても主犯が実は学園長、理事長の息子でした〜なんて取り上げたことがあるか?無いだろ?
結局事実があっても権力には負けるんだよ。
アンタら2人が部活って言う狭い世界で自分より下の相手に何でも聞けたように
僕はそれよりももっともっと広い世界の高い所で、逆に何も聞けないように、無かったことのようにできるんだよ。」
「そこまでして…ただでさえ済まされないのに、二宮君が何をしたって…。」
藤堂「もう別にこれ以上関わったりはしないよ。
僕の目的は"危険なヤツ"ってレッテルを貼って、運悪くアイツと同じクラスになった彼女を遠ざけることだったからね。
あんな事故に遭えばもう誰も近付いたりなんてしないし、退院すれば何も無かったことのようにアイツにも普通の学園ライフを送らせるよ。
ま、死んだところで何も変わらないしね。」
手が 出そうになる。
それを必死にこらえたのは
"全て"が 揃ったから―――――――………
・
潤「………(笑)。」
沈黙を破ったのは
潤君の失笑
藤堂「何がおかしいんだ?」
潤「ね〜、聴こえた?元理事長兼現会長のご子息
大野さん?」
その一言で
彼の顔色は
一気に青ざめた。
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作者名：千也 | 作成日時：2016年6月12日 19時
