＿第６話＿ ページ6
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ロイに言われた通り、チケットなしでも入れる観客席に行く。
出入り自由なためか、人がごった返している。
ここも人多いなぁ、見つかるかな……。
「A、こっち」
「え……ロイ！？」
「おう。この姿では久しぶりだな」
誰かに腕を掴まれたと思えば、人間の姿になっているロイだった。
ロイは的確に人の少ない場所を通りユノンがいるという場所に進んでくれる。
「アイツには誰に会ったとか言うなよ。さっきの3人はキャラクターだ」
「えっそうなの！？で、でもそれなら言った方がユノンのために……」
「アイツはここが別世界だってことをAは知らないと思ってる。言ったらなんで知ってるのってなるし、ここのキャラクターは血の気の多いやつばっかりだ。Aは絶対に死なせないけど、下手にキャラクターに絡んだら、最悪アイツは死ぬぞ」
ユノンが死ぬということを聞いて息を呑む。
言った方がユノンの気持ち的にはいいのかもしれないが、死んでしまう＿＿否殺されてしまう可能性があるというのだ。
死んで欲しくない。
でもそれは私の気持ちで、ユノンはどう思うかな？
死んででも会いたいって……思うのかな。
「アイツは家族みたいな存在なんだろ？でも俺にとってはそうじゃない。だから俺はAしか守らない。Aだけを守った結果、アイツが死んでAが悲しんだとしても、後悔はしない。Aの気持ちがどうだろうが、俺はAしか守らない」
少し落ち込んでしまった私を見て、ロイはそう言った。
それはロイの考えでもあるかもしれないが、今の私の気持ち的にはそう考えたかった。
神であるロイがそういうのだから、私もそう思っていいのだと、許されたような気がしたのだ。
私も、ユノンを守る。
ユノン的には早くキャラクターたちに会いたいかもしれないけど、私はユノンを守るために言わない。
それに、いくら血の気が多いって言っても、１人ずつなら仲良くなれるかもしれないし。
「……じゃ、俺はこの辺で。この先のトイレ付近にいるから行ってみな」
「うん、いつもありがとうロイ」
「どういたしまして。またな」
最後にロイとしっかり目を合わせ、目を瞑る。
目を開けた時にはもう姿はなかった。
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作者名：ジユウジン | 作成日時：2019年11月25日 22時
