面白そうだから愛し愛されてみた【クロロ】

＿第５話＿ ページ5

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　数時間後、目を覚ました。
　外はもうだいぶ暗くなっており、下から見える街の明かりが綺麗だった。


　……少し嫌な夢を見たせいで、目覚めが悪い。
　天空闘技場で念能力者に殺されるって、予知夢みたいな夢は辞めてほしいんだけど。


　私には予知夢を見る力などないので特別気にしていない。
　恐らく、自分の中にある不安から夢を見てしまったのだろう。

　私は操作系。技はまだなく、考え中だ。
　作ろう作ろうとは思っているのだが、どれも型にはまらないのだ。
　他の操作系能力者がどんな技を有しているのかも知らないし、先輩もラティも別系統なので参考にできない。

　ラティは特質系で、触れた人間のオーラを吸い取るというもの。
　吸い取られた相手は、生きるために必要最低限のオーラのみが残り、疲労で無気力になってしまう。
　吸い取ったオーラは1時間ほどで消えてしまうが、奪った相手に返ることはなく、周りに世話をしてくれる者がいなければ死に至る可能性もあるんだとか。
　奪ったオーラは他人に分け与えることはできるが、ラティ自身が使うことはできないらしい。

　そもそもラティは、本能的に能力の使い方を知っているだけで、念を自由に使いこなすことができないため、自分に使えるかどうかは定かじゃないと聞いた。
　ラティは精孔を開くため、無理やり起こそうとし失敗し、1週間近く動くこともままならなくなってから、開くのを諦めてしまったらしい。



　「あっし……！つ〜」



　発を考えないと簡単に殺されてしまうかも、と思考をめぐらせていれば、足が攣った。
　ずっと同じ体勢だったからか、体中が痛い。
　足の痺れが収まってから、お腹が空いていたのでレストランに向かう。
　レストランを目の前にし、入ろうとした所で後ろから声を掛けられる。



　「すみません、これから食事ですか？」
　「そうですけど……」
　「ご一緒しても？」



　黒髪黒スーツ。加えておでこに包帯を巻き、特徴的なイヤリングをしている。


　乗船前にチケット掏った人かな？
　もしそうなら掏った相手を食事に誘うって面白い事するね。
　いや、手練れほど掏った相手のことなんか覚えちゃいないだろうし、偶然かな。
　ていうかイケメン！


　「割り勘にしてくださいね」


　イケメンに誘われてドキッとしたが、お金まで奪わせるつもりはない。


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