＿第３話＿ ページ3
.
夢を見た。シャルの夢を。初めて出会った日の夢を。
その日私は、私に仕えてくれていた従者全員を殺した。
母と父もすでに亡くなっていた私は、本当に独りぼっちになってしまたのだ。
当時私は12歳。
甘やかされて育ってきたため、１人で生活していくなんて到底無理な話だった。
「どうしたの？」
家の扉の前でうずくまっていた私に声を掛けたのが＿＿シャルナークだった。
当時14歳。2つ上だった。
「1人になっちゃった。貴方はどうしたの？」
私は彼にそう告げた。そして聞き返した。
なぜならそこは、滅多に人が寄り付かない場所だったから。
私が住む家は悪魔の家と呼ばれていた。
実際、私達一家は魔族の血を受け継いでいる。
「俺は……わかんないや。気づいたらここに来てた」
そんなことあるはずがない。
父の力によって結界が張られているから、ここに来る目的がない限り入ることはできない。
そこまで考えて、父が死んだことを思い出した。
父が死んだということは結界も解かれてしまっている。
そして私は彼の前で泣いてしまった。
「わ、わ！大丈夫？どこか痛いの？」
「お父さん……殺しちゃ……たの！従者も、殺しちゃったあぁぁ！」
泣きじゃくる私を、シャルはそっと抱きしめてくれた。
背中をさすって、私が泣き止むまで隣にいてくれた。
私が少しずつ落ち着いてきたころに、彼は言った。
「俺が一緒にいてあげる！1人にしないよ」
そこで夢を終わった。
私は夢にシャルが出てきてくれた喜びを感じつつ、家を見回した。が、シャルが戻ってきたような痕跡はない。
私は夢の続きを思い浮かべるかのように目を閉じる。
シャルと出会ってから、私たちは共に過ごした。
共に過ごすうえで、お互いの事を話したりした。
自分が人間の純血ではなく魔王の末裔だということも、話せることはすべて話した。
まぁシャルはほとんど隠したりして、本当のことを話してくれたのは数少ない。
彼が盗賊だということも今朝知ったしね。
8年も一緒にいたっていうのに……。
でも裏切られるのは覚悟の上だったはず。
だってシャルは、初めて出会ったあの日からずっと、嘘をついていたんだもの。
そして私も……彼にすべてを話したわけじゃない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジユウジン(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます！長い間更新できておらず申し訳ございません。説明ばかりになってしまって面白くないかもと思っていたので、このコメントはとても励みになります！近々更新いたしますので、もうしばらくお待ちください！ (2020年1月31日 23時) (
レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - コメント失礼します！続きが気になります！とっても面白くて、今まで読んだことのない世界観でとても続きが気になります！更新頑張って下さい！ (2020年1月9日 23時) (レス) id: c4c066f43b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジユウジン | 作成日時：2019年11月16日 15時
