_第2話_ ページ2
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「ふぅ……」
「あ、今ので何回だ?」
「28ね。フィンクス、回数重ねるたびに聞いてくるのちょとうざいよ」
「今のため息じゃなくて一息ついただけなんだけど!」
フィンクスとフェイタンが今朝から、俺のため息の回数を数えてくる。
昨夜、俺は彼女に手紙を残し、別れを告げてきた。
今頃もう手紙を読んだ後だろうな。
俺が盗賊だと知って幻滅したかな。それとも‥‥‥泣いてくれてたりすんのかな。
俺はまたため息をついていたらしく、2人が笑っている。
俺は溢れ出そうになる涙を引っ込めパソコンを開いた。
特に調べるものはないが、何かをしていないと気がおかしくなる。
俺は盗賊、彼女は一般人。
本来交わることのない2人。
向こうは俺の居場所を知らない。
だから俺が彼女の所に行かなければもう会うことはない。
俺から去る。
これが正解。
「はぁ……」
「シャル、お前さすがにヤバいぞ。何があったんだよ」
「何もないよ、ここ回線遅いからイライラしてんの」
嘘だけど。
‥‥‥ダメだ、彼女のことばっかり考えちゃう。あ、もう彼女じゃないのか。
あ、ダメだ泣きそう。
俺は急いで外に出て木の陰に隠れる。
探しに来られたらすぐに見つかるが、団長が帰ってこないうちは大丈夫だろう。
フィンとフェイも追いかけてくるような奴らではない。
携帯を開きメールボックスを確認する。
やっぱ、来てるよね。
返信すんなよ、俺。
ちゃんと話がしたいといった内容のメールを読む。
削除しようか迷ったが、やっぱり無理だった。
一度開いてしまったら今までもらったメールも読んでしまう。
「あはは。あーしんど」
今、名前を読んだら返事をしてくれるだろうか。
俺がもっと強ければ、そばに居れただろうか。
A、俺以上にいい人なんて山ほどいるから。
俺は君以外の人を愛さないけど、この想いは忘れるから。
だから君も、俺のことは忘れてね。
どうか、幸せになって。
俺は深く深呼吸をしてからアジトに戻った。
もう涙は流さない。
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ジユウジン(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます!長い間更新できておらず申し訳ございません。説明ばかりになってしまって面白くないかもと思っていたので、このコメントはとても励みになります!近々更新いたしますので、もうしばらくお待ちください! (2020年1月31日 23時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - コメント失礼します!続きが気になります!とっても面白くて、今まで読んだことのない世界観でとても続きが気になります!更新頑張って下さい! (2020年1月9日 23時) (レス) id: c4c066f43b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジユウジン | 作成日時:2019年11月16日 15時