_第13話_ ページ13
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「今日は休め。明日にはここを発つ。それから……その本を読むのはあまりおススメしない」
クロロは私をふかふかした場所に寝かし、布を被せながら言った。
「化け物……とてでも書いてあるですか?」
「化け物? いや、お前への"アイ"が書いてあった」
「アイ……? なんです? それ」
“アイ”とは聞いたことはあるが、人の声からしか聞いたことがないためよくわからない。
ただ、自分には一生与えられないものだというのは知っている。
「……その“です”ってのは敬語のつもりか?」
「え、はい。えらいひとにつかうときいたです」
「どうやって覚えた?」
「外ではなしてるひとたちからなんとなくで……。なんかへんですか?」
「たまにな。慣れるまで無理に使おうとしなくてもいい。というか使うな。明日からいろいろ教えてやるから、今日はもう寝ろ」
クロロは私の頭にそっと触れると、部屋の電気を消して蝋燭の灯りを頼りに、自分の持っていた本を読み始めた。
私はクロロから目を逸らし、先程読まれてしまった本と、まだ読まれていない本を抱え込む。
これからどうしよう。
クロロがねたら逃げられるかな? でもどこに?
……けっきょく村にいるときとおなじ。ひとりじゃなにもできない。
外にでても死なないけど、いろいろ教えてくれるならクロロのそばにいたほうがいい。手荒な真似はしないっていってたし。
ここから逃げても、またべつのひとがひどいことをしないとはかぎらないんだ。
もし……もし死なないとしられたらどうなるんだろう。
同胞たちがしたように、痛いこといっぱいされるのかな……? ……たぶんそうだ。ぜったい痛いことされる。
だから、そうなるまえにひとりで生きていける力をみにつけよう。
このことはぜったいにバレちゃいけない。
私はなるべく小さくなるように体を丸め、目を瞑る。
ベッドの上で寝たことがない上に、毛布を掛けたこともなかったため、違和感で気持ち悪かった。
しかし、自分の体温によって毛布がほんのり暖かくなり、すぐに眠りについてしまった。
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ジユウジン(プロフ) - かかかっかさん» お待たせしました! 実はこの先どう話をつなげようか全く思いついておらず……笑 少しずつでも進めていきますので、続編でもよろしくお願いします! (2020年11月23日 22時) (レス) id: 7b9e53fa76 (このIDを非表示/違反報告)
かかかっか - 今日更新日じゃあないですかあぁーーなんて奇跡! (2020年11月23日 13時) (レス) id: be021bd9b1 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - なつみかんさん» コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けたのは初めてで嬉しいです…!私も今後書けるのが楽しみで、早く更新していきますね!体調崩せばゆっくりできるので更新できるのでは…と考えてしまいました笑 なつみかんさんもお気を付けください! (2020年2月13日 0時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - かわいい...優しい気持ちになれて素敵な小説です、タイトルや種族のところを考えるとなんだか不穏ですが、それも楽しみにして更新待ってます!作者さんお身体には気をつけてくださいね! (2020年2月12日 15時) (レス) id: a4479fa504 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - うらららリンゴさん» コメントありがとうございます!クラピカや主人公組……というより原作に入るまでまだまだ時間がかかりそうなのでしばらく出てこないかもしれません……。そこまで進んだ時には、ご期待に応えられるよう頑張りますので今後ともよろしくお願いします! (2019年12月15日 9時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジユウジン | 作成日時:2019年11月14日 17時