君を想って今日も。2 #JUMP

◎ 03 ページ21

_









.







A「 涼介…座って 」






普段は
「おかえり」「ただいま」
「ご飯は？」「食べる」
「先寝るね」「おやすみ」




これだけ。



なんのためにAが俺の部屋に来てるのか
わからなくなってしまうくらい
味のない会話で。
味のない食事で。






.






そして、味のない夜。
触れたいのに…俺は君の未知なるところに
触れて、俺の生活場所で愛し合いたいのに。

君の寝顔を壊す気にはなれなくて。
Aが来る日の夜はほとんど
夢の中でAを無茶苦茶に抱いてる。









.









でも今日は何もかもが違った。

逆に味がありすぎる。









.









涼介「 どうした？ 」




黒のローテーブルを挟んで
座布団に正座で座ったAと
クッションにあぐらをかきながら座った俺。





A「 ……別れよ 」









.









すれ違いと
好きの違いが生まれてしまったみたい。









.









「 はぁ… 」




涙が出てこない。
ため息ばかりが床に落ちていく。







.






でも、…Aが合鍵をローテーブルに残して
トークルームからも退出して
確認したら俺の部屋に置いてた着替えも持っていってて。




そしたらやっと、
現実と涙がじわじわと俺を襲ってくる。









.







「 ばっかじゃん俺 ………愛してたもんな 」






掠れた声で
誰かに訴えかけたけど誰にも届かなくて。




“ なに泣いてんだよ男だろ ”
“ いや愛してたから泣いてんだろ ”

って俺の心の中の２人が言い合ってて。









.








携帯の待ち受けは、
メイクさんやスタッフさんに
不意に見えてしまうかもしれないからって
お互いがお互いにプレゼントした
キャンドルの写真。




きっとAの待ち受けも同じ写真 …… だったと思う。









.






そんな画面が光った。









.









_

◎ 04→←◎ 02

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す