譲らないよ（白）

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A「彼ならもう、1年前に辞めちゃいました」





「え〜なんでーーー」
「しばらく来なかったうちにやめちゃったんだ…」






翔太、こんなに人気だったんだ。
まあ知ってはいたけど。







「下の名前も連絡先も全然教えてくれなかったんですよ〜」








A「そう…なんですか、」







へぇ…あのチャラい感じの翔太が？






この女の子たち普通に可愛いし、
翔太ならすぐに教えてそうだけど。

なんか意外。













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A「はい、お伺いしまーす！」









女子大生に絡まれた後は、
団体客の卓と厨房の往復を繰り返していた。









それはもう、目が回るほど忙しかった。









そして今、私の目の前には生ビールが並々と注がれたジョッキが8つ。



これは3往復しなきゃだなぁ…
私の手、ちっちゃいから。




大抵の人はジョッキ4つをいっぺんに持って行けるんだけど、盛大にやらかした過去があるから、そのトラウマで今では２つしか持てない。










とりあえず２つを握って持っていこうとした時、










ラ「僕も持っていきます」

A「ラウールくん…！」






ホールでオーダーを取りに回っていたはずのラウールくんが、私の背後に立っていた。







A「今、大丈夫なの？」

ラ「はい！一旦落ち着いてるので」

A「じゃあ、一緒にお願いしてもいい？」

ラ「もちろんです！」










はあ、ラウールくん神。

ニカッと笑ってみせる白い歯が眩しい。







ラ「じゃあ僕6つ持ちますね〜」

A「え！そんなに？！」

ラ「任せてください！」







そう言ったラウールくんは、
片手に3つずつジョッキを握って厨房を出て行った。





今日入ったとは思えないくらい頼もしすぎる。




中身までイケメンなのかと感心しながら、
残った２つのジョッキを運んだ。













ラ「お待たせ致しました、生ビールです」








イケメンラウールくんのお陰で、
テーブルと厨房を何度も往復せずに済んだ。

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