勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

脅し ページ9

「伝説のアイテムボックス持ちか......使えるな、姉ちゃんの選択肢はこうだ。俺のとこで働くか死っぐわああああ！？」


「はぁ......なんなのよ、貴方私にずっと着いてきてたわね」


「な、なんだっ......身体が動かねぇ！」



私は自身の身体に触れないように魔法を全身に纏わせ拘束から逃げることができた
雷魔法を応用したビリビリ攻撃だ
こんなので動けなくなるということは、戦闘経験はあまりないと予測する
アイテムボックス持ちを狙うとなるとこの男は......



「......貴方、商人ね」


「なっ、どうして分かったんだ！」


「アイテムボックスが必要な仕事といえば商人でしょ？貴方、よかったわね。商人じゃなかったら......死んでたかも」


「ひ、ひいっ！なんだ、何が望みなんだ！」


「ふふふ......ふふ、ふふふ......」



身動きの取れない身体、私の恐ろしい微笑み
それに完全に弱ってしまった姿を思い出すと今でも面白い
私は馬車に揺られて商人と共に首都へと向かっていた
この件をチャラにする代わりに首都へ連れて行けと脅したのだ
ステータスカードの更新は限られたギルドでしかすることができず、一番近いのが首都だ
次に近い場所となると海を越えなくてはならない



「姉さん、どうしてこんな要求を？まさか______」


「余計な好奇心は自身の首を締めることになるわ。貴方はそんなに寿命を縮めたいのかしら」


「ひいっ！は、はっはっは......冗談です」



首都は警備も厳重でステータスカードを見せなくてはいけない決まりだ
勇者御一行のひとりが来たとすれば大騒ぎになって、下手すれば城に呼ばれることになるだろう
そしてパーティを脱退したと分かれば面倒なことになるのは目に見えている、国の兵器にされるのは御免だ
そんな時の手として使ったのが護衛という役割だ
商人の護衛はCランク以上の冒険者しかできない割の良い仕事で、身元も保証されている為掲示は求められない
まあつまり、計画通り！



「ね、姉さん......関門を過ぎましたよ」


「よくやったわ、そこで止めて頂戴」



私がフードを被って馬車から出ると、逃げるように商人は去って行った
ここの街の人には顔を知られているかもしれない、首都には来たことがあるのだ
ギルドは何回か利用したからギルド長には顔が利く、そこへ向かおう
私はステータスカードを更新する為、ギルドへと向かった

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