勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

特殊ダンジョン ページ37

「薬草を使った料理？」


「そうなの、珍しいものを使った料理を作りたいんだけど......薬草を使った料理なら体力も回復できるしどうかと思って」


「......上手くいくのでしょうか、その......薬草は苦いですから」


「そうなのよね......まあでも食べられない苦さではないと思うの。苦味を飛ばして料理に入れられれば......」


「それでこの山に来たのですか」



ここは"亀"があるテンケーレの街からほど近い山、ラテーレ山だ
弱い魔物ばかりで山菜採りにはうってつけの場所だ
料理を創作する為に薬草と食べられる山菜を山から貰いに来たのだ
私達はナイフで木に印をつけながら森の奥深くまで入っていく
すると薬草と見た事のある山菜が実っていた



「これも食べられるわね、これも」


「じゃあ私は薬草を取りますね」


「お願い、こっちの籠に入れてね」



数十分が経過すると籠は満杯になってしまった
山菜採りはつい夢中になってしまう
満足してアイテムボックスの中にしまうと、アイトは改めて感心しながら歩き出した



「アイテムボックスは本当に便利な魔法ですね」


「アイトも特殊ダンジョンに行ったらいいと思うわ」


「そ、そんな軽く......前から不思議に思っていたんですが、特殊ダンジョンってなんですか？」


「そうね......冒険者を愛する者、という言葉がピッタリかしら」



特殊ダンジョンはその名の通り特殊な場所にある
冒険を愛する者を愛した者が、自然と導いてくれる
そういうとアイトが理解できなさそうに首を傾げた
私が特殊ダンジョンに行けたのは偶然だ、勇者である洸太は機密情報同然の伝承された話を語られて、特殊ダンジョンに行ったそうだ
冒険を愛する者を愛しているというのは私の感じたことだけど



「愛された者なら自然と見つけられて、帰れるような場所なのよ。素敵でしょ？また行きたいわ......」


「......それって、愛されていない者はどうなるんですか？」


「......最悪、死んでしまうかしらね。でもアイトなら大丈夫よ！」


「どこから判断しているんですか......」



アイトはそう言って溜息を吐いているが、私はいつかアイトと特殊ダンジョンに行きたいと思っている
特殊ダンジョンは、冒険の醍醐味だもの！

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