勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

止まらない嫉妬 ページ4

「っくそ、火力足りねー！」


「王華、俺が行く！」



行方不明者が続出している山脈、その場所へ洸太達は原因を探りに行った
この山脈を越えることは困難で人通りがない、そのせいか巨大な魔獣が住み着いていたのだ
商人が通行することもあり魔獣にとって丁度良い餌場だったのだろう
洸太は王華と入れ替わり剣を魔獣に突き立てるが、硬い装甲は刃を通さない



「っく......仕方がない、下がって！」



洸太がそういうと魔獣と距離を取り剣先を向けた
魔獣は唸り助走を付けようと脚で軽く地面を掻いている



「勇者の力を与えし神よ、今我に応えたまえ______」



洸太が詠唱を始めると同時に魔獣は洸太へ向かっていく
魔獣が口を開けて巨大な牙を剥き出しにし激しい威圧を洸太に向けるが、動揺せず洸太は口内に魔法を解き放った



「______雷剣の怒り！」



剣先から閃光が走り魔獣を貫いて獣臭い血が周囲に舞った
魔獣は口を開けたまま固まり、ゆっくりと地面に倒れて絶命した
それと同時に洸太は肩で荒く息をし額に汗を滲ませながら膝を付く



「こ、洸太！大丈夫ですか？」


「ああ、大丈夫だよ......ユリがいれば、すぐに仕留められたな」



洸太は苦笑いを浮かべながら美久亜の治療を受けている
その言葉に洸太の背後で美久亜の笑顔は消えた
洸太とユリはとてもお似合いの2人だった
王華は自身の洸太への気持ちにさえ気付いていない為安心しているものの、ユリのことになると美久亜は焦ってしまう
美久亜は気付いてしまった、洸太がユリと話をしている時が一番楽しげなことに
このままだと相思相愛になるのも時間の問題、初めは賢者になろうとしていたが美久亜に攻撃魔法の適正はなかった
それに対してユリは攻撃魔法を好んで使っており、治癒魔法は美久亜がいる為に使わなかっただけ


自分で怪我を治していたユリに洸太は嬉しそうに言った、賢者になれると
ユリはその時も酒を飲んでいて覚えていないだろうが、美久亜はその一言で焦りに駆られて自分の居場所を奪われる前にユリを追い出した


美久亜はその後盗難被害をギルドに知らせようとしたが、洸太はそれを渋り王華には否定された
ギルドに知らせればユリは冒険者の身分証とも言われるステータスカードを剥奪され、冒険者として活動できなくなる
そこまでする気は無いようで、美久亜は悔しい思いをした
そしてこの頃洸太がユリに戻ってきて欲しいと口にするようになっていく
そんな洸太に美久亜は日々嫉妬心を募らせていった

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