勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

夢と仲間 ページ28

「ユリ様」


「ん？どうかしたの？」



私達はクラメールの街にいることを危険に思い、近隣の大きな街へ共に移動していた
そんな中アイトは申し訳なさそうに頬を搔いている



「成り行きでついてきてしまいましたが......申し訳ありません」


「......あら、てっきり一緒に旅をするのかと思っていたわ」


「......よろしいのですか？」


「勿論よ！私とアイトの仲でしょ？私も一緒に旅がしたいの」



アイトの期待するような目は嬉しそうに緩んだ
どうやらアイトも私と同じように一緒に旅がしたいと思っていたようだ
私達はこれからどうするか話し合いながら進んだ



「そういえば、ユリ様は料理をお仕事にしたいと言っておりませんでしたか？」


「はっ......そうだった、怒涛の日々ですっかり飛んでいたわ。でも......旅もしたいという気持ちもあるの」


「そうですか、料理屋となると旅を続けるのは......」


「そうよね......どうしましょう」



料理を振る舞うのも好きで、旅も大好きだ
どちらも私にとっては欠かせない
私達は途中で見つけた商人にお金を渡し、その街まで送ってもらうことになった



「はぁ......」


「どうした、お腹でも空いたかい！」


「ちょっと、悩み事よ」



商人は1人明るく笑いながら馬を引いた
その腹には幸せが詰まっていそうだ
商人は干した果物をこちらに投げて、私は慌ててそれを受け取った



「食いな、1個150ギラだ！」


「お金は取るのね......でも、頂くわ」



話を聞くと商人はこうやって食べ物を渡して追加料金をもらうこともよくあるみたいだ
いつもは貰わないけど準備不足だったから頂くことにした
私はその果物を口に入れようと開けた瞬間、雲間に光が差し込むように思い付いた



「これよ、これだわ！」


「ん......どうか致しましたか？ユリ様」



眠っていたアイトは目を擦りながら起き上がった
私はそんなアイトと反対に興奮するように言葉を続けた



「旅もできて、料理もできる方法を思い付いたの！」


「本当ですか......！詳しく聞かせてください」


「街に着いたら教えるわ、ゆっくりできる場所で話しましょ！」



私は気分よく干した果実を口いっぱいに入れた
この商人には感謝しておかないとね

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