勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

閑話:ユリの正体 ページ35

「へー、すっごーい！勇者御一行に会えちゃうなんてね！」


「み、美久亜様......お噂を聞いておりました、あ......あの、お会いできて嬉しいですっ！」


「ありがとうございます、そこまで喜んで頂けるなんて......」



心の中で当然だけど、と付け加えた
美久亜は信用を得る為に勇者御一行だということを明かした
洸太がユリを求めるなら仕方がないと、美久亜は諦め半分だった
悔しくて、また拳を握った
回復魔法だけじゃ、洸太の役に立てないとこの数ヶ月でそう考えていたのだ



「それで、ユリと何の関係があるの？」


「実は......ユリもパーティメンバーだったんだ、色々あって今は抜けているんだけどね」


「ぱぱぱ、ぱてぃ、パーティメンバー！？」


「......強い匂いがしてた、そういうことだったんだ」


「知りませんでした......凄い人だったんですね」



そして紅の翼の一部メンバーは、ハーレムパーティについてのユリの反応に納得していた
聞きたいことは山々だが、さすがに"色々"については首を突っ込めないようだ



「......私達、ユリがどこに行ったのか知らないよ」


「なんだよ、知らないなら早く言えよな」


「いや、いいんだよ。ここで足跡が途切れたか......」


「あ、そういえば私が一番最初にユリさんと出会ったのがオスタレンの街なんですよね」



とユミアが声をあげた
首都であるこの場所から近くにある栄えた街だ
宿屋で働いていたユミアだけが、ユリの素顔を見ていたのだ
首都ではフードを被っていたため、無理もない
そしてユミアは重要な情報を勇者御一行に聞かせた



「私が紅の翼に入った時にユリさんがオスタレンの街で何をしていたのか話してくれたんです。領主様の護衛騎士のアイトという美形の剣士様に助けてもらって、料理を振舞ったのだとか。もしかしたら領主邸に行けばなにか分かるかもしれません」



勇者御一行もオスタレンの街から首都に来たが、まさか領主と関係があったとは思いもしなかった
また戻ってユリの行方を探さなければ、と洸太は立ち上がったものの......



「......美形の、剣士様」


「えー？なになに、勇者様はユリが好きなの？」


「そ、そんな！違うよ。ユリが心配なだけだよ！」



ミズサは周りの雰囲気に気付かず頬が赤い洸太をからかい続けるが、徐々に王華と美久亜の機嫌が悪くなっていく
それに気付いたユミアが苦笑いを浮かべながらさり気なくミズサを止めた

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