第10話 あはれ。こころ行方知れず ページ11
『…………』
目の前で机に突っ伏して寝ている彼を起こすのはとても不本意やったけど、休み時間も残り少なかったし、教室内の視線が痛いくらいうちに突き刺さってるため、早く自分の教室に戻るためにも意を決して彼の腕を軽くつつく。すると、侑くんは「あ?」という低い声とともに顔を上げた。それからうちの姿を捉えると、これでもかってくらい目を見開いた。
侑「A…?」
『ね…寝てたのに邪魔してごめんね』
侑「……ええよ……Aのおかげで寝過ごさんで済んだわ」
冗談交じりに笑う侑くんに、ホッと息をつく。ここで、拒絶されたら当分立ち直れないところやったから。
侑「俺に何か用か?Aが俺のクラスくるなんて珍しいやろ」
『あ……えっと…これ……』
手に持っていたパックジュースを渡せば、侑くんはまたも目を見開く。「俺に?」と言う侑くんに、うちは首を縦に振る。
『倫太郎から…朝練ん時に治くんと喧嘩したって聞いたから……』
侑「それでパックジュース…?」
『お見舞い…的な…?こんなんしか渡せるもんなかったから……怪我大丈夫…?』
侑「大したことないから大丈夫や。それに、Aのおかげで痛みも飛んでったわ」
どこか嬉しそうに笑う侑くんに、顔の熱が集中して鼓動が早くなる。
あかん……これ以上ここにおったら、気持ちが抑えれんくなる。
「じゃあ、うち戻るね」と、教室から出ていこうとしたら、侑くんに「A」と手を掴まれた。
侑「今日、用事あるか…?」
『え……な、ないけど……』
侑「なら──今日一緒に帰ろ」
笑顔でとんでもないことを言う侑くんに、うちの意識は遠のきかけた。
25人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セシル(プロフ) - Ruuさん» 完全にごちゃごちゃになっていますね。修正します。 (2020年12月1日 23時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
Ruu(プロフ) - お話はすごくいいのですが途中から角名が関西弁になっているのがどうしても気になって... (2020年3月11日 3時) (レス) id: b4a2fe1890 (このIDを非表示/違反報告)
さむつむ(プロフ) - お、治くん、、、むくわれて欲しいです、、 (2020年3月4日 18時) (レス) id: 0a4236f730 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セシル | 作成日時:2018年7月18日 12時