第256話 不安でしょうがなくて ページ8
2008年7月7日────。
『何でだろう……七夕になると、どうしても会いたくなるんだよね……もう未練なんてないはずなのに……ねぇ…どうしてだろう……真一郎…………こんな事言ってたら……エマちゃんに怒られちゃうね』
返事が返ってくるわけがないのに、私は墓石の前に座って、話を振り続ける。
『7月なのに雨が多くてさぁ……今日も雨が降るかもしれないんだって……天の川見れないかなぁ───あとね…最近……嫌な夢ばかり見るの…………マイキーが私を殺す夢』
今より髪が短くて、白髪のマイキーが私に銃口を突き付けて、引き金を引く。そして、自分が血まみれになる事なんか気にせず、マイキーは苦しそうに泣きながら、私の名前を何度も呼んで、私の事を強く抱きしめる───そんな夢がここ数日何度も続いて、まともに寝れていない。体調も崩しやすくて、マイキーにも周りのみんなにも心配をかけてしまっている。そんな自分が嫌でたまらない。
『今年がね……マイキーとの“約束の年”なの……だけど…本当に私でいいのかな……このままずっと一緒にいたら、マイキーを不幸にしちゃうんじゃないかなって……すごく不安なの』
故人に話したところでなんの解決にもならない。だけど、誰かに吐き出さないと、この不安に押し潰されてしまいそうだから……。
『…………また来るね』
スっと立ち上がって、私は踵を返す。歩き慣れた道を少し懐かしく思いながら歩いて、目的の場所へ向かう。
綺麗に並んで展示されるバイクと看板を見て、深呼吸をしてからお店の中に足を踏み入れる。自動ドアの開く音に反応して、「いらっしゃいませ」と顔をこちらに向ける2人は、揃いも揃ってこれでもかってくらい目を見開いた。
龍宮寺「A……」
『やぁ、久しぶり……ドラケン…イヌピー』
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ひめか(プロフ) - 面白くて見てたら更新停止(泣)続きが出てくるのを待ってます! (10月20日 0時) (レス) id: d30a0c4a49 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 久しぶりに読みに来たのですが、完結までの続きを読めるのゆっくり待ってます (2023年2月2日 23時) (レス) @page12 id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
らる - 何回読みな返したか分からないくらい大好きな作品です! (2022年10月23日 21時) (レス) @page12 id: 2d3739eeeb (このIDを非表示/違反報告)
ゆいみ - Twitterの事とかなんにも知らなくて、けどこの作品すごく好きなのでまた見られるようになって嬉しいです! (2022年3月25日 12時) (レス) @page7 id: 4903ed4ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2022年3月21日 20時