episode7 ただ愛していると伝えるための両腕 ページ7
アヤト「あっ、ほら見てみろよA。城が見えて来たぜ！」
あの後、手分けして探した方がいいということで各々別行動をとることになった。もちろん、私はアヤトと一緒に行動している。馬車に乗って移動していると、馬車の窓からお城とパレードの様子が見えた。
アヤト「へえ……さすがはパレードだけあって、賑わってんな。ライトじゃねぇけど…こりゃあ、楽しめそうだぜ…！」
『………』
アヤト……ちゃんと瞳の事探してくれるのかな……折角だし、パレードは楽しみたいけど、瞳のことが頭をグルグルと回っていて、気が気じゃない。
不安が滲み出ていたのか、アヤトは向かい側の席から私の隣に移動して、怪訝そうに私の顔を覗き込んだ。
アヤト「なんだよ、そんな顔して……あ。もしかして、オレ様が瞳のことすっかり忘れてると思ってんだろ」
『う……』
アヤト「ふん。ンなわけねえだろ？ちゃーんと覚えてるっての。でもな、それにしたってまずはウォルターってヤツの情報を集めなきゃなんねえんだし、だったら、そのついでにちょっとぐらいパレードを楽しんだっていいだろ？」
『……そんな気分じゃない…』
アヤト「……瞳のこと、そんなに心配か？」
『っ……当たり前じゃん…！私は、この瞳がなかったら……』
不安と焦りが一気にきて、アヤトに八つ当たりしてしまったことを後悔する。
もうやだ……アヤトは何も悪くないのに……ポロポロと目から涙がこぼれ落ちると、「聞けよ」と言って、アヤトは私のことを抱きしめてくれた。
アヤト「オマエの瞳は、オレ様が必ず取り返してやる。だから泣くな。何も心配することもねえ。オレ様を信じろ！」
『……アヤト…』
本格的に泣き始めた私にアヤトは肩を竦めて「仕方ねーヤツだな」と言って、幼子をあやすかのように、私の背中をポンポンと優しく叩いてくれた。優しいアヤトの言葉に少しだけ気持ちが軽くなった気がした。
episode8 満ちては欠けた月と花→←episode6 ご機嫌麗しゅう、ターゲット
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セシル
| 作成日時：2017年10月26日 7時
