第238話 少しだけ二人の世界 ページ40
『───三途の運転……』
三途「ん?……あ、もしかして荒いですか?車に酔ったなら、窓開けてもらって大丈夫ですよ。それか、どこかで休憩しますか?」
『ううん……そうじゃなくて……三途の運転でどこか出かけるの……初めてだなぁって……』
三途「あぁ…そういう事ですか……Aさんがいつも乗る車に比べたら、オレのなんて乗り心地悪いでしょう」
『そんな事ないよ』
車窓に映る流れる景色を眺めるAさんに、「体調が悪くなったらすぐに言ってくださいね」と告げれば、Aさんは「うん」と小さく頷いた。それから特に会話はなかったが、車内はどこか居心地のいい空間に包まれた。
『……ねぇ…どこ行くの?』
三途「秘密です」
『えー……』
三途「到着までのお楽しみですよ」
そう言えば、Aさんは子供のような不貞腐れた表情を浮かべた。こういうところは、昔と変わらないなと感傷に浸りながら、オレは車を走らせる。
しばらくして、目的の場所に到着した。車を適当なところに停めて、オレは運転席から降りて、Aさんが座る助手席のドアを開けに行く。
『わぁ…!海だ…!』
三途「近くまで行きますか?」
『うん…!』
子供の頃のように目を輝かせ、無邪気な笑顔を浮かべるAさんに、自然と頬が緩んだ。
三途「はしゃぎすぎて転ばないよう気をつけてくださいね」
『三途は私をいくつだと思ってるの?もう子供じゃないんだから大丈夫だよ……あっ』
言った矢先に砂浜に足元を取られ、転びそうになるAさんの体を片手で支えれば、驚いて目を丸くするAさんと目が合った。
三途「だから言ったじゃないですか」
『ゴ…ゴメン……』
三途「気をつけてくださいね。またAさんに怪我をさせて帰ったら、今度こそオレは首領に殺されます」
支えていたAさんの腰から手を離すと、その手をAさんが掴んだため、今度はオレが目を丸くする番だ。
三途「Aさん…?」
『……どうして……ここに連れてきてくれたの?』
第239話 衣を纏って願うは一縷の望み→←第237話 ワルツは光を模った
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瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時