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第234話 デッドストックの真っ暗闇 ページ36

怒りが治まらないのか、マイキーは目の前のゴミに銃弾の雨を浴びせた。Aさんに手を出そうとした当然の報いだとオレは思うが、オレのそばにいる優しい心を持つAさんはそう思わないのだろう。
Aさんは、震える体を押さえ、マイキーを止めようと声を荒らげた。Aさんの声がマイキーに届いたのか、マイキーは引き金を引くのをやめ、ゆっくりAさんの方へ顔を向けた。Aさんは涙で顔をぐしゃぐしゃにして、「やめて……もう…死んでるよ」とか細い声で言った。Aさんの言葉に、マイキーは少しの沈黙の後、「あぁ…そうだな」と言って、持っていた銃を適当なところに放って、Aさんの元へ歩み寄った。

『っ……ゲホッ…!ゲホッ…!』

三途「Aさん…!」

Aさんは苦しそうに咳き込み出し、その場に蹲った。突然起こった発作に、マイキーは慌てた素振りを見せず、慣れた様子でAさんの背中をさすって、Aさんの事を抱き抱えた。

万次郎「後始末は任せたぞ」

三途「はい」

マイキーがAさんを抱えて部屋を出ていくのを見送ったあと、オレは死体の処理ではなく、涼しい顔をして立っている灰谷蘭の胸ぐらを掴みにかかる。

三途「テメェ……何でAさんをここに連れてきた」

蘭「Aが一人は嫌だって言うから連れてきてやったんだよ」

三途「マイキーがどういう行動に出るか、テメェはわかってただろ。あんな光景、Aさんに見せて楽しいか?」

竜胆「何でオマエがそんなキレてんの?首領がやり過ぎんのはいつもの事だろ?」

三途「オレらにとってはそれが日常でも、Aさんにとっては非日常なんだよ」

蘭「だから、Aは中途半端なんだよ」

三途「あ?」

蘭「こっちで生きていくって決めたなら、もっと向き合うべきだろ?目を逸らし続けてるから、耐えきれなくなって逃げ出す。でも本気で逃げないのは、首領との縁を切りきれないから。首領も首領で、結局Aに甘いから同じ事を繰り返す」

三途「テメェがあの二人の何を知ってる……何も知らねぇくせに余計な事してんじゃねぇよ」

蘭「オレはAの背中を押してやっただけだよ……今度こそ、本気で逃げ出すかもなぁ」

三途「テメェ……」

蘭「失いたくなかったらちゃんと監視してろよ、奥方の世話係」

表情一つ変えず、口元に笑みを浮かべたままの灰谷蘭に舌打ちをこぼし、「クソが」と呟いて、オレは灰谷蘭の胸ぐらから手を離して、死体の処理に取りかかった。

第235話 嘘入りのパウダーシュガー→←第233話 止めようのない雪崩れのよう



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瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時

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