第224話 果てにある最愛 ページ26
『っ……マ………マイキー……』
三途「…………」
オレの膝を枕に眠りについたAさんは、目尻に涙を浮かべて、うわ言のようにマイキーの名前を呼び続けている。
熱も出てきたからだろうか……Aさんはさっきからずっと苦しそうに息をしている。見るに堪えないその姿に耐えられなくなったオレは、Aさんの名前を呼んで、Aさんの体を軽く揺する。
三途「Aさん、大丈夫ですか?」
うっすら目を開けたAさんは、小さく首を縦に振った。肩で息をするAさんは、虚ろな目でオレを見つめて、ゆっくり口を開いた。
『……三途……マイキーは……?』
三途「首領なら夕方には戻る予定です。Aさんが怪我をした事と体調が悪化した事をお伝えしたので、恐らくもう少し早めに戻ってくるかと」
『…………そっか…』
三途「もし気になるなら……電話、かけてみたらどうですか?Aさんの声を聞けば、首領も安心されると思いますし」
『ううん…いい……忙しいのに…電話なんてかけてくるなって……怒られると思うから……やめとく……ここ数日…マイキーの機嫌いいから……下手に刺激して怒らせたくないし……』
三途「…………」
Aさんは、昔から自己肯定感が低い。特にマイキーが絡むとマイナス思考になり、どんどん塞ぎ込んでしまう……昔も今も全部、Aさんの取り越し苦労なんだが…………。
運転手の「到着しました」という言葉と共に、車が停車した。ゆっくり起き上がるAさんに、「今ドアを開けます」と告げて、オレは車を降りる。車を降りてAさん側に回ろうとしたら、思わぬ人物がアジトの入口付近に立っていて、オレは思わず目を見開いた。
『……三途…?』
ドアを開けたまま動きを止めるオレをAさんがどこか不安そうに見つめた。そんなAさんを安心させるため、「よかったですね、Aさん」と微笑を浮かべ、ドアを閉める。
三途「お疲れ様です、首領。お早いお戻りですね」
万次郎「後の事は全部明司に任せてきた」
三途「Aさんも喜ばれるかと……今、開けますね」
第225話 掌の上でステップ→←第223話 滲み出ていくシグナルはブルー
2482人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠李(プロフ) - いつも楽しみにみています(*^^*)応援してます。頑張ってください。 (2021年12月14日 2時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - いつも楽しみに見てます!!今後がとても気になりました (2021年11月19日 19時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
まいこりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!! (2021年11月9日 18時) (レス) @page41 id: 580e720842 (このIDを非表示/違反報告)
名無し28468号(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2021年10月4日 6時) (レス) id: 6546ee49f0 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ぱむむさん» ありがとうございます!私も個人的に梵天のマイキーのメンヘラヤンデレ感がすごく好きで絶対話に入れたいと思ってました(笑) (2021年9月10日 18時) (レス) id: 7fa00bc5ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セシル | 作成日時:2021年8月31日 11時