第九十七話 ロンリーシュガーの攻防 ページ48
中原「A、いい加減機嫌直せよ」
『……別に怒ってないわよ』
怒ってない。これは嘘じゃない。御店を出たのは、ゆっくり食事が出来ないからで、怒って出たわけじゃない。まあ、太宰さんと中也の間に挟まれるのが厭だったと云うのもあるけど。
何を勘違いしたのか、本部に帰ってきた中也はワタシを見つけるや否や、ワタシのご機嫌取りに勤しんだ。「仕事は?」と訊けば、「手前の方が重要」と云われ、口元が緩みそうになる。ここまでワタシにベッタリな中也も珍しい為、ワタシは敢えて“怒っている”と云う事で話を進める。
『赦して欲しい?』
中原「おう」
『じゃあ、今日の埋め合わせして』
中原「は?」
『だって中也が芥川なんかを誘わなければ、あんな近場でご飯食べなかったでしょ?そうしたら、太宰さんに遭遇する事もなかっただろうし』
中原「手前だって梶井誘ってただろ」
『芥川を誘ったのは中也の方が早いもん。中也がワタシとの逢引(デート)を台無しにしたんでしょ』
ワタシの云い分に言葉を詰まらせる中也を見ていると、少し遣り過ぎたかなと罪悪感が生まれた。
その時、部屋の中に笑い声が響き渡った。笑い声の主は首領で、首領は執務室の備え付けの椅子に座ったままワタシ達の事を微笑ましそうに眺めていた。
忘れてた。ワタシ、首領の執務室で寛いでたんだった。
鷗外「いやぁ、君達はいつ見ても微笑ましいねぇ。見ていて飽きないよ……A、もう気が済んだだろう?中也君を揶揄うのは、その辺にしたら如何だい?」
『えー、滅多に揶揄えない相手だから面白いんだよ』
鷗外「折角、中也君が仕事ではなくAを優先してくれたんだ。それ以上苛めては可哀想じゃあないか」
中原「……すみません。今日の分の仕事は必ず遣り切ります」
鷗外「いいんだよ、中也君。君は働き者だからね。休息も偶には必要だよ」
真意の読めない首領のせいなのか、将又自分の事を揶揄ったワタシに対してなのか、中也は怪訝そうな表情を浮かべた。
165人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまこ - 本当に面白かったです!!中也さんカッコイイです!! (2016年11月12日 23時) (レス) id: 015a6a66a8 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 綾瀬雪さん» 何度も足を運んでいただき光栄です!!中也には溺愛していただきます(笑)今後ともご期待に添えるよう頑張りたいと思います! (2016年10月30日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬雪 - お久しぶりです。続き読ませていただきました。夢主ちゃん本当に可愛いですね!ワガママだけど根がいい子なのがいいですよね。これからも中也さんに溺愛されてほしい! (2016年10月28日 15時) (レス) id: e4913cbce9 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 綾瀬雪さん» 本当ですか?良かったです(T_T)小説の話を組み込むのは不安だったのですが、そう言っていただける方がいて下さって本当に嬉しいです\ ♪♪ /これからもよろしくお願い致します (2016年10月15日 17時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬雪 - お返事ありがとうございます。本編より少し幼さの残る夢主ちゃんとってもかわいいです。ワガママ可愛い子大好きなので私の好みどストライクです! (2016年10月15日 14時) (レス) id: 3c086ba796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セシル | 作成日時:2016年10月7日 23時