第九十二話 よしなよ、もう手遅れだ ページ43
カチャカチャと食器がぶつかり合う音が鳴り響く。
せっかくの昼食時間(ランチタイム)だというのに、空気がどこか重たい。
そして、とうとう痺れを切らした中也が口を開いた。
中原「お前ら、せっかく飯食ってんだからさぁ。なんか喋れよ」
芥川「僕は腹を満たすために食べているだけ。何も話すことは無い」
中原「いや、人と飯来て云う台詞じゃねぇな」
『そうよ、芥川。ワタシと中也の昼食時間を邪魔しておいて、その云い方はないんじゃなくて?』
芥川「お言葉を返すようですが、Aさん。それを僕に云うのなら、梶井はどうなるんですか?」
『梶井さんはワタシが誘ったから善いのよ』
芥川「ならば、僕は中也さんに誘われました」
『中也よりワタシの言葉が“絶対”よ』
僅かだが、顔を顰める芥川に自然と口角がつりあがる。芥川を揶揄って遊んでいると、隣に座る中也に「芥川を揶揄うな」と軽く頭をコツかれた。
『えー…何で?』
中原「何でもだ」
『だって退屈なんだもん』
芥川「僕で遊ばないでください」
梶井「A嬢、そんなに退屈なら僕が紛らわせてあげるよ」
『ほんと!?』
梶井「もちろん!と云うことで……今から科学実験しまーす!」
「科学実験?」と云う声が、中也とハモった。
梶井さんは意気揚々と、目の前にあるスープに砂糖を入れようとしたため、中也が「やめろ!」と慌てて梶井さんの事を止める。
中原「折角の味が不味くなる!!」
梶井「不味くなるねぇ……でも、世の中の全ては“科学”!!」
あぁ……スイッチが入ってしまった。
梶井さんは饒舌な方だが、“科学”の事になると更に饒舌になり、語り出したら止まらない。
以前、梶井さんに捕まって無理矢理話に付き合わされた時は、そこらの抗争を止めるよりも疲れたのを覚えている。あの時、中也がワタシを探しに来てくれなければ、徹夜で梶井さんに付き合うハメになっていたかもしれない……そう思うと、ゾッとする。
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くまこ - 本当に面白かったです!!中也さんカッコイイです!! (2016年11月12日 23時) (レス) id: 015a6a66a8 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 綾瀬雪さん» 何度も足を運んでいただき光栄です!!中也には溺愛していただきます(笑)今後ともご期待に添えるよう頑張りたいと思います! (2016年10月30日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬雪 - お久しぶりです。続き読ませていただきました。夢主ちゃん本当に可愛いですね!ワガママだけど根がいい子なのがいいですよね。これからも中也さんに溺愛されてほしい! (2016年10月28日 15時) (レス) id: e4913cbce9 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 綾瀬雪さん» 本当ですか?良かったです(T_T)小説の話を組み込むのは不安だったのですが、そう言っていただける方がいて下さって本当に嬉しいです\ ♪♪ /これからもよろしくお願い致します (2016年10月15日 17時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬雪 - お返事ありがとうございます。本編より少し幼さの残る夢主ちゃんとってもかわいいです。ワガママ可愛い子大好きなので私の好みどストライクです! (2016年10月15日 14時) (レス) id: 3c086ba796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2016年10月7日 23時