第六十五話 仮のおはなし ページ16
鷗外「紅茶が未だだよ、太宰君。まあ、座りなさい」
太宰さんは微動だにしなかったが、ワタシの手を更にギュッと握り締めた。
側面に回り込んだ黒服が、太宰さんの眉間に自動小銃をつきつけた。ワタシは思わず「やめて」と、声を荒らげてしまう。そんなワタシを宥めるかのように、太宰さんは空いている方の手をワタシの頭に優しく置き、口を開いた。
太宰「織田作が待ってる」
鷗外「座りなさい」
太宰さんは自分の顔に向けられた銃口をちらりと見て、それからワタシの手を離し、部屋の中央に戻った。首領の正面に立ち、静かに告げる。
太宰「ずっと考えてました。マフィアとミミックと黒い特殊部隊。この三組織をめぐる対立は誰が操っているのか。そして、安吾が異能特務課だと気付いた時、ひとつの結論に達しました。これは異能特務課の計略だという結論です。マフィアとミミック、政府の頭痛の種である二つの犯罪組織を潰し合わせ、あわよくば共倒れを狙う……それが特務課の描いたシナリオであり、この抗争の招待なのだと思いました。“だが、私は間違っていた”」
そう云うと言葉を切り、太宰さんは首領を見た。首領は微笑んだまま肩を竦めて「聞いているよ」と云った。
太宰「この絵を描いたのは首領、あなただ。犯罪組織ミミックの脅威を利用し、異能特務課を交渉のテーブルに引きずり出した。そして、その計略の中心的な手駒となったのが、安吾だ」
太宰さんは半ば、目を閉じるように云った。
太宰「首領、あなたが安吾をミミック内に潜入させたのは、ミミックの情報を得る為ではなかった。何故ならあなたは、“安吾が異能特務課だと最初から知っていた”からです。そうですね?」
太宰さんの言葉に思わず目を見開くワタシに対し、首領は否定も肯定もせず、「ほう」とだけ云った。
太宰「そうだとして考えると、いろいろな事実の意味合いが変わってきます」
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くまこ - 本当に面白かったです!!中也さんカッコイイです!! (2016年11月12日 23時) (レス) id: 015a6a66a8 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 綾瀬雪さん» 何度も足を運んでいただき光栄です!!中也には溺愛していただきます(笑)今後ともご期待に添えるよう頑張りたいと思います! (2016年10月30日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬雪 - お久しぶりです。続き読ませていただきました。夢主ちゃん本当に可愛いですね!ワガママだけど根がいい子なのがいいですよね。これからも中也さんに溺愛されてほしい! (2016年10月28日 15時) (レス) id: e4913cbce9 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - 綾瀬雪さん» 本当ですか?良かったです(T_T)小説の話を組み込むのは不安だったのですが、そう言っていただける方がいて下さって本当に嬉しいです\ ♪♪ /これからもよろしくお願い致します (2016年10月15日 17時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬雪 - お返事ありがとうございます。本編より少し幼さの残る夢主ちゃんとってもかわいいです。ワガママ可愛い子大好きなので私の好みどストライクです! (2016年10月15日 14時) (レス) id: 3c086ba796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2016年10月7日 23時