第六話 快楽を覚えたアソビ ページ7
中原「俺が嫌がらせをしに来たんじゃなく……実は手前こそが、嫌がらせをする為に俺を待ってたって事か?」
太宰「久しぶりの再会なんだ。このくらいの仕込みは当然だよ。それに──中也を待っていれば、Aちゃんにも逢えると思っていたからね」
『………』
顔を歪めるワタシに対し、中也は一気に落胆してその場に両膝をついた。
ここまでおちょくられる中也は久しぶりで、流石に気の毒に思う。
中原「死なす……絶対こいつ、死なす……」
太宰「おっと、倒れる前にもうひと仕事だ。鎖を壊したのは、君だ。私がこのまま逃げたら、君が逃亡幇助の疑いをかけられるよ?勿論、その場に居たAちゃんも罪に問われる事になるだろうね。君が云う事を訊くなら、探偵社の誰かが助けに来た風に偽装してもいい」
中原「……それを信じろってのか」
太宰「私は、こういう取引では嘘をつかない。知ってると思うけど」
中原「手前っ……」
『………』
きっと、中也の怒りは頂点(ピーク)に達している。然し、今は完全に太宰さんのペース。中也は観念したかのように、ガクッとその場に項垂れた。
太宰さんの云う人虎に関する情報の在処を中也は潔く教えたのだが、太宰さんはそれに対して「予想がついていた」と云う。
何処までも人を莫迦にした態度の太宰さんに、中也は舌打ちを零し、ワタシの方へ歩いてきた。それと同時に、ワタシも立ち上がる。
中原「……用を済ませて消えろ」
太宰「どうも。でもひとつ訂正。今の私は、美女と心中が夢なので、君に蹴り殺されても毛ほども嬉しくない。相手がAちゃんなら別だけどね」
中原「あ、そう……じゃ、今度…ジサツ志望の美人探しといてやるよ」
太宰「中也……君、実は良い人だったのかい?」
中原「早く死ねって意味だよ、バカヤロウ……云っておくがな、太宰。これで終わると思うなよ。二度目はねえぞ」
太宰「違う違う。何か忘れてない?」
『──中也……遣るの?』
怒りで全身が震える中也と、期待の眼差しを向ける太宰さんを交互に見る。すると、中也は勢いよく太宰さんの方を振り返り、太宰さんの事を指さした──勿論、内股で。
中原「二度目はなくってよ!」
お嬢様口調の中也に太宰さんは大ウケ。ワタシもつられて笑ってしまったが、中也に思い切り睨みつけられたため、慌てて口を両手で塞ぎ、中也と共に獄舎をあとにした。
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瑠李(プロフ) - どころ所敦が淳になっています。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: d8c6f7f40c (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - きな粉もちさん» そんな勿体ないお言葉ありがとうございます!!とても励みになります(T_T)これからもよろしくお願いします!! (2016年6月19日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - もう大好きです!他の作品も読ませていただきました。どれもとても面白かったです!続きが気になりますがご自分のペースで更新して頂けたらな、と思っております。無理せず頑張ってください!私も陰ながら応援させて頂きます! (2016年6月18日 2時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - パティーさん» ありがとうございます(T_T)そう言ってもらえるなんてとても光栄です!今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月9日 16時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 新作おめでとうございます(>ω<)セシルさんの作品&中也くん大好きなので今後の展開がとても楽しみです!!陰ながら応援しております!! (2016年6月8日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2016年6月8日 17時