第三十五話 首輪でつないであげる ページ36
『あ…あの……中也……いい加減機嫌治して…?』
中原「あ?手前こそ、もっと反省しろ」
『っ……ご…ご免なさい…』
仕事を終え、何時もの様に中也の車で家に帰宅すれば、中也は不機嫌なオーラを漂わせて、寝室へ入っていった。中也が不機嫌な原因は、完全にワタシである事は判っていた為、ワタシも中也の後に続いて恐る恐る寝室に入れる。入った瞬間、寝台(ベッド)の頭板(ヘッドボード)に凭れる中也の目の前に正座させられ、説教をされ、今の状態にあたる。
そろそろ足が痺れてきたから、本当に勘弁してほしい。
『ほ…本当に今回の事は凄く反省してます……もう二度と中也との約束破ったりしないから……』
中原「……当たり前だ……次破ったら、只じゃおかねえからな」
『……は…はい……』
中原「……A」
『ん…?』
中也に名前を呼ばれ、顔を上げれば、中也は人差し指をワタシに向かって、クイッと動かした。
これは、こっちへ来いの合図だな。
ワタシはそれに従い、中也にゆっくりと近づけば、中也に手を引かれ、中也の足の間に座らされた。何も云わない中也に首を傾げれば、中也はワタシの顎を掴み、そのまま口付けを落とした。何度も何度も、角度を変えて行われるそれに、ワタシは中也の服をギュッと握り締め、必死に応えた。
中原「……A…」
『ん…っ……な…何…?』
中原「──無事で善かった」
中也のその言葉に、ワタシの目からは涙が溢れ、零れ落ちた。中也がどれだけ心配してくれていたのかが、その一言で伝わってきて、涙が止まらなかった。子供の様に泣きじゃくり、「ご免なさい」と謝罪の言葉を云い続けるワタシに、中也は「泣き虫」と云って笑った。
『──中也』
中原「何だ?」
『……好き……大好きだよ…中也』
中原「っ……煽んな、莫迦」
『中也……照れてるの…?』
顔を背けた中也に、冗談交じりで問えば、中也の手が背中に回ってきて、抱き寄せられた。そのおかげで、中也との距離が鼻と鼻がくっつきそうなくらい近くなる。
中原「手前、あんま調子乗ってると啼かすぞ」
『……怪我が治るまで、御預け』
中原「……上等」
そう云って、笑顔を浮かべた中也に、ワタシも笑顔を浮かべ、どちらからともなく口づけを交わした。
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瑠李(プロフ) - どころ所敦が淳になっています。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: d8c6f7f40c (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - きな粉もちさん» そんな勿体ないお言葉ありがとうございます!!とても励みになります(T_T)これからもよろしくお願いします!! (2016年6月19日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - もう大好きです!他の作品も読ませていただきました。どれもとても面白かったです!続きが気になりますがご自分のペースで更新して頂けたらな、と思っております。無理せず頑張ってください!私も陰ながら応援させて頂きます! (2016年6月18日 2時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - パティーさん» ありがとうございます(T_T)そう言ってもらえるなんてとても光栄です!今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月9日 16時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 新作おめでとうございます(>ω<)セシルさんの作品&中也くん大好きなので今後の展開がとても楽しみです!!陰ながら応援しております!! (2016年6月8日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2016年6月8日 17時