第十四話 見えない敵はどこにいる? ページ15
その後──人虎を含む探偵社員の作戦のお陰で、ワタシ達は無事に外の世界に戻る事が出来た。
鷗外「あああっ、エリスちゃん!」
首領の声と共に後ろを振り返れば、そこには一時的に行方不明となっていたエリスの姿があった。
鷗外「大丈夫だったかい。何処に行ってたのだい。心配したのだよう。突然居なくなるから」
エリス「急に消えたら、リンタロウが心配すると思って」
鷗外「そうだよ。心配したよう。泣くかと思ったよう。もう泣いてるけど」
エリス「そしたら、泣かせたくなった」
鷗外「非道いよ、エリスちゃん!でも、かわいいから許す!」
『………』
茶番だ──そんなことを考えていたら、思わぬ人物が、この場に現れた。人虎に抱きつく少女の姿に、ワタシの口角は自然と吊り上がる。
鷗外「それでは、私達は失礼するよ」
中島「助言(アドバイス)、有難う御座いました。そう云えば、お医者さんなのですか?」
鷗外「元医者だよ。今は、小さな寄合の仕切屋中年さ」
人虎と首領が話している隙に、ワタシは久しぶりに見た少女の背後に回り、少女の耳元で囁く。
『久しぶり……鏡花…』
鏡花「!?」
化け物でも見たかのような表情を浮かべる鏡花に、不敵な笑みを浮かべ、ワタシは首領の元へ駆け寄った。首領はワタシが戻った事を確認すると、人虎に手を振り、ワタシとエリスを連れて、その場を後にした。
鷗外「──楽しい一時だった。私も童心に返って、異能で敵をばっさばさと遣っ付けたくなったよ」
エリス「中年には無理」
鷗外「非道ーい……私は之でも……」
表通りから外れた路地裏を抜けた先に、ワタシは大好きな人の姿を見つけた。
『中也……っ!?』
首領から離れ、中也の元へ駆け寄ろうとした……が、出来なかった。
中也とワタシの間に転がるのは、血塗れの死体。見慣れている筈なのに──何故か、ワタシはその死体から目が離せず、足が竦んでしまった。
“こいつ等の娘を探せ。必ず、何処かに居るはずだ……見つけ出し、俺の元へ連れて来い”
頭が割れそうなくらい酷い頭痛に襲われる。
ワタシは、この光景を見た事がある。大勢の人間に囲まれる血塗れの死体──中也や、周りにいた部下達がワタシの名前を呼んでいる気がした……然し、ワタシは激しい頭痛のせいで意識が遠のいていき、そのままワタシの意識はブラックアウトした。
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瑠李(プロフ) - どころ所敦が淳になっています。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: d8c6f7f40c (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - きな粉もちさん» そんな勿体ないお言葉ありがとうございます!!とても励みになります(T_T)これからもよろしくお願いします!! (2016年6月19日 0時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - もう大好きです!他の作品も読ませていただきました。どれもとても面白かったです!続きが気になりますがご自分のペースで更新して頂けたらな、と思っております。無理せず頑張ってください!私も陰ながら応援させて頂きます! (2016年6月18日 2時) (レス) id: 6d39800d09 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - パティーさん» ありがとうございます(T_T)そう言ってもらえるなんてとても光栄です!今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月9日 16時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 新作おめでとうございます(>ω<)セシルさんの作品&中也くん大好きなので今後の展開がとても楽しみです!!陰ながら応援しております!! (2016年6月8日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2016年6月8日 17時