第二十六話 まるで春の陽射しのように ページ27
深夜「おへろー」
スーパーカーの中から出てきたのは、食パンを咥えた深夜だった。
五士「わわ。深夜様、その車なんですか?」
深夜「すごいでしょ。スーパーカーよ、スーパーカー。輸送車乗ってる途中で、ドア開きっぱなしで放置されてたから拾ってきちゃった」
グレン「エンジン音がでかすぎる。これは隠密任務だぞ」
深夜「グレンに聞かせるために、吹かしたんだよ。無駄にうるさくて《ヨハネの四騎士》ホイホイになってたから、途中までエンジンに、消音幻覚の呪符貼ってきた」
グレン「ったく、無駄の塊だな。これじゃ、車高も低すぎて段差を越えられないだろ」
深夜「いやー、この手の車は、世界崩壊前から無駄の塊だよ。きっと、それがいいんだよ。なんせ、スーパーカーだしね。スーパーよ」
グレン「どうでもいい。ところで深夜」
深夜「うん?」
グレン「なぜ、おまえがいる?柊様が来るような任務じゃないぞ」
深夜「あはは……なにも、“柊様”は僕だけじゃないよ」
その時、後部座席のドアが開いた。現れたのは、バツ悪そうな顔をするAだった。
美十「A様じゃないですか。お会いするのは、いつぶりでしょうか」
時雨「お久しぶりです。A様」
小百合「A様!お会いできて光栄です!」
『み、みなさん──お久しぶりです…』
Aの周りに群がる奴らを横目に、俺はAを見つめる。
馬鹿A……毎回毎回、俺の行為を無駄にしやがって……。
グレン「……おい、A……おまえ……」
五士「A様じゃないですか!いやー、また一段とお美しくなられましたなぁ」
俺がAに言おうとしたことがわかったのか、俺の言葉を遮るかのように、五士が陽気なテンションで、Aに話しかけた。Aも、そんな五士と楽しそうに談笑している。俺はため息をついて、深夜に向き直った。
グレン「……なんで連れてきた」
深夜「Aちゃんが行くって言って聞かないからさ……ほら、僕優しいから、かわいい妹の頼みは、断れなかったんだよ」
グレン「ふざけるなよ……この任務は…」
深夜「知ってるよ。知っててAちゃんも来てるんだよ。僕だって、本当はこんなところにAちゃんを連れてきたくなかったよ」
グレン「………」
深夜「暮人兄さんから聞いたよ。完全に捨て駒じゃないの。これ、絶対行かない方がいい。たった100人で、吸血鬼の貴族殺してまわるとか、正気の沙汰じゃないよ」
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セシル(プロフ) - 雪幢さん» こちらこそまたお越しいただきありがとうございます!以前、コメントを返信できなくて申し訳ないです(T_T)今後の展開は一応浮かんでいるのですが、私もどうなるかわかってません(笑)今後ともよろしくお願いいたします(^^) (2015年11月26日 11時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
雪幢 - 更新ありがとうございます!グレンのことを大切に想っている主人公ちゃんがほんと健気でかわゆいです(*´`*) 原作読んでると、今後主人公ちゃんがどうなっちゃうのかと心配になります。。。今後の展開が楽しみです♪ (2015年11月23日 23時) (レス) id: f0aa761702 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - わざわざ質問答えてくださってありがとうございます!!!!!これからも応援しています(≧∇≦) (2015年8月14日 22時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ルカさん» そんなもったいないお言葉までいただき本当にありがとうございます(T_T)夢主は優たちと同い年ぐらいです! (2015年8月13日 19時) (レス) id: fbea12f221 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - すごくおもしろかったです!作者様は文才ありすぎですね!!!うらやましいです!グレンカッコイイ!あっすみません!1つ、質問いいですか?夢主ちゃんって何歳くらいなんでしょうか? (2015年8月13日 14時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2015年5月18日 22時