終わりのセラフ そんなこんなで巡る日々 【一瀬グレン】

第二十五話 燐光 ページ26

海老名サービスエリア──


グレン「……五士か。何してる？」

五士「んー。ああ、ほら、こんなんあったから。世界崩壊の時は、高校生だった俺らも、いまやグラビアある青年誌読む年齢よ。ほれ、このグラビアどうよ？」

グレン「どうとは？」

五士「いやー、最近水着の女の子とか、見てねーなーと思ってさぁ。グレンの従者の小百合ちゃんも、時雨ちゃんも着てくれないしさ」

時雨「そんな目で見ても、着ませんよ？」

小百合「あ…あ、でもグレン様が着てほしいというのなら、わたくしはいつでも……あの……」

五士「まっじかよ！！じゃあグレン、着てほしいって言ってくれ！頼む！！いますぐ言ってくれ！！」

小百合の言葉に、五士は興奮気味で食いついた。

グレン「第一、水着着てどうする。海には毒の雨が降った。泳げないぞ」

五士「ばっか。このグラビアも、クリスマス号なのに水着着てんだろ！！水着は、海で着るもんじゃねぇんだよ！！」

グレン「じゃあ、どこで着る？」

五士「ラブホ？」

グレン「もうおまえ黙れ。で、建物の中に吸血鬼は？」

五士「見てなーい」

グレン「働けよ」

五士「生真面目なお嬢様の美十ちゃんが、見て回ってるから大丈夫でしょ。しっかし、この子もたぶん、もうウイルスで、8年前に死んでるんだなぁ……てか、A様はグレンに頼まれたら着るの？水着」

グレン「知らね……つーか、着たとしても、おまえには絶対に見せねぇよ」

五士「えー、ちょっとぐらいいいじゃん。絶対、A様の水着姿かわいいよね。もうあの人、存在がかわいいもん。だから、グレン……A様を俺に譲って」

グレン「嫌だね」

「グレン」

名前を呼ばれ、振り返れば、美十がいた。どうやら、中を確認し終えたらしい。

五士「あ、美十ちゃん。ちょっと、水着着ない？」

美十「？なんの話です？」

五士「いやー、スケベグレンが、どーしても美十ちゃんの水着姿見たいって言ってさー」

美十「んな…ななな何をいやらしいことを言ってるんですか！！？あの…本気ですか？」

グレン「ああ、やっと部隊が集まりだしたな」

五士の冗談を間に受ける美十をスルーして、集まってきた部隊を眺めれば、どこからかエンジン音が聞こえてきて、俺の目の前に、一台のスーパーカーが止まった。

第二十六話 まるで春の陽射しのように→←第二十四話 予防線は崩された

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す