第十九話 めぐる轍 ページ20
暮人「知らなかったのか。だが、おそらくおまえは、その生き残りだ。グレンは、おまえの中の何かを利用しようとしているぞ」
『お、お言葉ですが……暮人兄様──そんな物的証拠もないのに、グレンを疑うような口ぶり……やめていただけますか?』
暮人「A……おまえもいい加減目を覚ませ。グレンは、そういう男だ。現に、おまえだってそうだろう……奴は、おまえのことを見ているわけじゃない」
『っ…!そんなこと、自分が一番よく分かってる!!でも、これ以上グレンを侮辱すると言うのなら……いくら暮人兄様でも、許さない』
暮人「はは。おまえが感情を表に出すなんて……珍しいこともあるものだな。だが、すべて事実だろう?」
『っ……』
深夜「ちょっと、暮人兄さん。話がだんだん逸れてってるけど」
暮人「ああ、そうだな……よし、事実は整理された。百夜優一郎俺の部下になれ。俺が、おまえを導いてやる」
そう言って、暮人兄様は優に手を差し伸べた。
優一郎「……どうでもいいけど」
暮人「ん?」
優一郎「与一と君月を解放しろよ」
暮人「ああ、そうだな。心配するな、二人とも《鬼呪装備》保持者だ。傷はすぐに癒える」
優一郎「……そういう問題じゃねぇだろ。おまえとグレンが、一体何の小競り合いしてるかは知らねぇけど、少なくともグレンはこんなやり方はしない」
暮人「はは。そうなのか。だから、彼はいつまでたっても、俺に追いつけない」
その言葉を聞いた優は、暮人兄様のことを睨みつけた。
暮人「ああ。でも、いまのおまえの選択肢は、正解だよ。あっさり俺の手を取りに来たら、俺はおまえを殺していた。だが、ここで俺に取り入らないのは……おまえはどこにも所属していないからだろう。なら、もう帰っていいぞ」
優が、スパイでないと判断したのか、暮人兄様は執務室を出て行った。優は呆気にとられていたが、すぐさま与一くんと君月くんに駆け寄っていった。
深夜「あはは。僕も同じ気分だよ。いやー、すごく嫌なところでしょう。ここ」
『っ……』
優一郎「A!?」
深夜「おっと──暮人兄さんが出て行って、緊張の糸が切れちゃったのかな」
優一郎「おい、てめぇ!Aをどこに連れて行く気だ!!?」
深夜「あんなことの後で、僕を信用できないのは分かるけど、Aちゃんは僕の妹だよ。心配しなくても、Aちゃんには何もしないよ──君は、その子達と一緒に早く帰ったほうがいいよ」
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セシル(プロフ) - 雪幢さん» こちらこそまたお越しいただきありがとうございます!以前、コメントを返信できなくて申し訳ないです(T_T)今後の展開は一応浮かんでいるのですが、私もどうなるかわかってません(笑)今後ともよろしくお願いいたします(^^) (2015年11月26日 11時) (レス) id: 87ed51745e (このIDを非表示/違反報告)
雪幢 - 更新ありがとうございます!グレンのことを大切に想っている主人公ちゃんがほんと健気でかわゆいです(*´`*) 原作読んでると、今後主人公ちゃんがどうなっちゃうのかと心配になります。。。今後の展開が楽しみです♪ (2015年11月23日 23時) (レス) id: f0aa761702 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - わざわざ質問答えてくださってありがとうございます!!!!!これからも応援しています(≧∇≦) (2015年8月14日 22時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
セシル(プロフ) - ルカさん» そんなもったいないお言葉までいただき本当にありがとうございます(T_T)夢主は優たちと同い年ぐらいです! (2015年8月13日 19時) (レス) id: fbea12f221 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - すごくおもしろかったです!作者様は文才ありすぎですね!!!うらやましいです!グレンカッコイイ!あっすみません!1つ、質問いいですか?夢主ちゃんって何歳くらいなんでしょうか? (2015年8月13日 14時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セシル | 作成日時:2015年5月18日 22時