終わりのセラフ そんなこんなで巡る日々 【一瀬グレン】

第十六話 他に何か云えるはずもなく ページ17

シノア「優さんの《黒鬼》シリーズの装備は、特殊なものだから、特殊配合の薬を渡せ……と、中佐に言われてそうしましたが……あの暴走は、その薬のせいじゃないんですか？いったい、あの戦場でのあれは、なんなんです？答えてください、グレン中佐」

グレン「はは。おまえが感情見せるなんて、珍しいな。怒ってんのか？で……なんて答えたら納得する？何もしてないって答えたら、安心するのか？」

シノア「馬鹿な！何もしてないわけが……」

姉様とグレンの会話についていけない。ただ、分かるのは……優が関係していること──。

グレン「じゃ、人体実験してるって言ったら、怒るのか？」

次に出てきたグレンの言葉に、私は目を見開かざるを得なかった。

グレン「か弱い人間が……崩壊した世界で生き残るには、どうしたらいい？吸血鬼を殺すには？ヨハネの四騎士を始末するのには？おまえの姉《柊真昼》が開発した《鬼呪装備》は、いったい何人の犠牲の上に完成した？《鬼呪装備》なしで、人間はこの世界で生き残れたか？」

シノア「それは…」

グレン「なら、いまさら綺麗ごと吐かすんじゃねぇよ、ガキ。それともまさか、おまえ、優に惚れたか？」

シノア「なっ…」

グレン「ははは、なんだその顔。まあ、おまえらがどうなろうが構わないが、ガキ同士の色恋を、いちいち俺に報告してくるなよ。帰れ」

シノア「待ってください。私の質問に……」

グレン「か、え、れ」

グレンの威圧に、姉様は言葉を詰まらせた。

グレン「ああ。それとあの薬、5日で抜けるから、優の奴、目を覚ますぞ。好きなら、側にいてやれよ」


＊＊＊


グレン「──おまえは行かねぇのか？」

『……優に、何をしたの？』

グレン「おまえもその質問か？めんどくせぇな」

『人体実験してるって、ほんと？』

グレン「そうだって言ったら、おまえも怒るか？シノアみたいに」

『別に……』

グレン「だったら、もういいだろ。この件は、あまり詮索するな」

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