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嗚呼、失恋ってこういうことを言うんだろうな なんて。
高校２年生の秋 肌寒くなってきたこの季節
「はよ帰るぞ〜」
「うんっ！」
密かに思いを寄せてた永瀬くんの隣を歩く綺麗な女の子
誰がどう見てもお似合いカップルで、叶うなんて期待はしてなかったけどやっぱり失恋は苦しかった。
スクールバッグの持ち手を握り締めて俯く
誰も来ませんように。なんて祈りながら1人で止まることを知らない涙を必死で拭う
私は涙を止めることに必死で目の前の影に気づかなかった。
「あ〜あ、目腫れちゃうよ？」
静かな玄関で響くハスキーな声
弾かれたように顔を上げると永瀬先輩とよく一緒にいる
『...しょ、せんぱい...』
「あはは、廉のことは永瀬先輩なのに俺の事は下の名前で呼んでくれてるの？」
小さく掠れた声も彼の耳には届いたらしい。
ふわりと優しい笑みを向けてくれて、私の頬を拭ってくれる。
暫くして泣き止んだ私を見て小さく微笑む紫耀先輩
すると紫耀先輩が口を開いた
「廉のこと、好きだったんでしょ？」
『なんで...』
「だってずっと廉のこと見てたじゃん。試合とかも見に来てたでしょ？」
嘘、端っこで見てたのに...
永瀬先輩の視界には入ってないなんて分かっていたけどまさか紫耀先輩に認知されてたなんて...
「それでさ、」
とん、と軽くつま先を鳴らして紫耀先輩が私に顔を近付ける
一瞬ドキッとしてしまったのはきっと気の所為だ。
にこりと天使のような笑みで紫耀先輩は言い放った
「廉のこと、あの彼女から奪っちゃおうよ」
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作者名：かぐら | 作成日時：2022年11月24日 18時
