一通目 ページ1
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このような内容の手紙が普通科の心操人使の下駄箱に放り込まれていたのは、雄英体育祭が終わって少し経った五月下旬のことだった。
手紙には『小津 A様』とクラスメイトの名前と、『爆豪勝己』という今では非常に有名な男の名前が書かれている。おそらくこの人物からうちのクラスメイトに宛てられた手紙なのだろう。
うわぁ、と心操人使は思わず顔を歪めた。おそらく非常にしわくちゃなブルドックのような表情であることが自分で分かるくらいには歪めた。
一体なぜ全く関係ないであろう自分の下駄箱にこの手紙が放り込まれているのか。間違えたのだろうか。「小津」と「心操」で下駄箱も離れているのに、どうしたら間違えるのだろうか。
心操人使は考える。もしかしたら、自分がこの手紙の内容、この2人、もしくはこれら3つと何か関係あるのではないか、と。
手紙の最後に「てめーと一緒にこの手紙を処分しろ」というこの上なく物騒な文章が見られることから、爆豪勝己は他人にこの手紙を見られたくはなかったはずだ。ならば余計、全く関係の無い人物の下駄箱に直筆の手紙を入れるなんて血迷ったマネはしないはずだ。
…だが、いくら考えようとも彼らと自分が繋がっているとは思えない。クラスメイトの小津Aとだって、別に特別仲がいいわけではない。
彼女の印象といったら、いつも目をこれでもかというほど見開いてらんらんと光らせており、歯を見せてニコリと大げさに笑い、食べ物の話となると声量が大きくなり早口になる。体育祭では、轟焦凍に凍らされて早々に脱落していた。
かなりエネルギッシュであることと、個性が「酸素」であるということくらいしか知らない。たいして話したこともない。
一身上の都合によりヒーロー科の爆豪勝己に手紙を渡しに行くのは気が進まなかった心操人使は、ひたすら訳が分からなくて頭を抱えたくなったがなんとか堪えた。
仕方がない。こちらもあまり気が進まないが、明日小津Aに手紙を渡して事情を説明しよう。なるだけ自然に、気にしていないとでもいうようにさりげなーく渡そう。自分は関係ない。関係ありませんように。
実際なんの関係もないことを後に知ることになる哀れ心操人使は、この面倒ごとに深いため息をついたあと、いつもより重い足取りで帰路についた。
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染井芳野(プロフ) - 怠惰な強欲さん» コメントありがとうございます。すげー名前っすね。気になっていただけて嬉しいです。更新してきます。 (2018年4月10日 12時) (
レス) id: 235460ef5a (このIDを非表示/違反報告)
怠惰な強欲(プロフ) - つ、続きが気になります…！ (2018年4月9日 21時) (レス) id: 3ead34adf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：染井芳野 | 作成日時：2018年4月8日 19時
