狂い咲いた、彼岸花【FEH】 (ページ6)

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６話ページ6

――――――――パァンッ。

乾いた音に、僕は思わず目を伏せた。

やっぱり、まだ、こういう「戦いの音」は、恐い。

でも、今は、それ以上に。

目を開けるのが、どうしようもなく、恐かった。

昨晩、彼女が言っていた事に不穏な影を感じて、
急遽他の人に役目を任せて、来てしまったけど。

(やっぱり、来るべきじゃ、無かった・・・？)

恐る恐る、目を開ける。

物陰からでも解る、凄惨な光景。

広がる血溜まり、その中に、

「―――――――っ」

一番、見たくなかったものが、あった。

僕の、想い人が。

血の池を、広げ続けている―――――

「あ、ああ・・・」

「何だ、そこに誰か居るのか、仲間か！？」

荒々しい男の声が聞こえた時、

―――――――ﾌﾟﾂｯ

と音を立てて、僕の中の何かが、切れた。

「あ・・・あ゛ぁあああぁっ！！」

声を上げ、抑えが利かなくなる身体。

最低で最悪だと思っていた“獣の血”の昂りを、ここまで心地良く思ったのは、初めてだった。

勢いそのままに飛びかかり、気が付くと。

“男だったモノ”が、出来ていた。