あまいにおい（トレイ・クローバー） ページ5
ハーツラビュル寮
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「トレイ先輩。タルトの作り方、教えていただけませんか…？」
「ああ。いいぞ。誰に作るんだ？」
「この間、リドル寮長に少しお世話になって。お返しにと思って」
リドル寮長にお世話になったのは本当だけど、実際はトレイ先輩に二人っきりで料理を教えてもらう口実。
大好きなトレイ先輩と二人っきりになりたかった。
「じゃあいちごのタルトを作ろうか。」
「あ、はい！」
腕まくりをして見えるトレイ先輩のたくましい腕にドキッとする。
「ここでこれを入れて・・・」
「はい…ってうわぁ！」
盛大にボウルをひっくり返す。
粉をぶちまけてしまった。
「・・・・・・」
恥ずかしさと申し訳なさで顔が熱い。涙がこみ上げてくる。
「ごめん、なさい」
「おいおい、泣くなよ。大丈夫だ。」
トレイ先輩がやさしく頭を撫でてくれる。
「いつでも教えてやるよ、お前が知りたいことはこれからも俺が教えてやる。だから・・・お前が一番頼れる相手になりたい。」
いきなりの言葉で理解が追い付かない。
「好きだ」
「え！？」
「鈍感なお前のことだからちゃんと伝えないとわからないと思ってな。泣いてるお前見て今伝えたくなったんだ。」
私は思わず抱き着く。ああ、夢みたい。
「私も…。トレイ先輩が大好きです」
抱きしめ返してくれるトレイ先輩の腕は小さく震えている。
トレイ先輩から漂う甘い匂いに私は目を閉じた。
続く
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作者名：そあ | 作成日時：2020年7月2日 3時
