【刀剣乱舞】彼岸花が咲く頃に・再 (ページ42)

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肆拾輪目ページ42

本丸の中というのは現世から見ると異界だ。

神や死者などの彼岸のものはこちらの方が生きやすい。

一方で此岸のものは現世でしか生きられない。

此岸のものは彼岸のものより強い。これは強いというより、眩しいという意味である。

だから、彼岸のものは此岸のものが現世でしか生きられないように縛った。

本丸は、やや現世寄りの彼岸に建てられる。

これは、その域内で何が起きても現世ではないと切り離せば最終的には完全に彼岸のものになるからだ。

都合が悪くなれば、全て切り離される。

一昨年だったかに担当した本丸は、当時、修行や極こそ無かったが、刀剣が審神者に忠誠を誓い過ぎたせいか善し悪しの判断が鈍り、歴史に手を出して消された。

気を緩めている暇は無いが…何故か、後ろから課長達が来ない。

岩融様と距離を取り、一瞬だけ振り返ると、全員が倒れていた。

「嵌めましたね…」

「人間にはこの瘴気は合わないからな。早くしないと全員死ぬぞ。」

「分かりました。本気で行きます。」

人間と同程度まで抑え込んでいた霊力を解放する。

髪がざわざわと膝丈まで伸びた。

倒れていた内の数人が持っていた矢を幾つかと、弓を拝借して3本同時に放った。

1本は岩融様を柱に縫い付け、1本は鯰尾様を牽制し、1本は天井の大鼠を驚かせた。

その隙に、僅かにする審神者の霊力の匂いを辿って廊下に踏み込んだ。