【d!】世界崩壊までのカウントダウン (ページ22)

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宣戦布告　#1 ページ22

見回りをしていた人や、外せない要事があった者も居たため、集合をかけて集まったのは3時間後であった。集まってから、普段通りであれば内ゲバが始まっているところだが、珍しく全員おとなしく待っていた。

「すまん。とりあえず、これを見てくれへん？」
「天使、神……？なにこれ」

コネシマの呼びかけに、ひとらんらんが手紙を覗き込んだ。彼のつぶやきに、手紙への注目が集まる。全員が驚いた顔をした。たった一人を除いて。

「シッマ、これ」

鬱先生が詳細を話さずに聞くと、コネシマは首肯する。二人の行動にグルッペンは苦笑いをこぼした。

「また隠し事か？いや、意地の悪い質問だったな」
「いや、推測が確立された。まず、アリスが巫女なのは服装でわかると思うけど、大先生も実はその血を引いとる」

ひとらんらんは彼の言葉に疑問を持つ。頭の中の情報を整理して、質問という文章に繋ぎ合わせる。

「それ、おかしくない？巫女は一族内で長女が産まれたら子を作るのは禁止のはず。アリスちゃんは大ちゃんより年上だから、矛盾が生じる」

ひとらんらんが詳しいのは巫女という職業は元々月光国のものであり、幹部であった頃に交流があったからだ。その問いに、鬱先生はうなずく。

「そう。でも巫女には2種類……というか役割があった。一つは対人外用、一つは対人間用ってな」

エーミールがハッとした表情を浮かべる

「一時期、巫女のおかげで怪異物の脅威が無くなり、人間は次第に同じ種族で争うようになりました。土地は痩せこけ、多くの死体が積まれる。それを見ていた巫女は話し合い、時には武力を用いて人々から争いを無くそうとしました。そこで一族が役割をそれぞれ決めて、二人の巫女がいる状態になったんですよね」

エーミールの知識は底なしと思わせるほど多く、確かな正解へと導く。まるで羅針盤のように。
鬱先生はコクンと首を縦に振り、それに続けるように歴史書には記されなかったことを話す。

「俺の親は俺が一歳のときに死んだ。やから、巫女と呼べるかはわからんけど、俺が対人外用、アリスちゃんが対人間用や」

突然の話の展開の理解に苦しむ人もいたが、ひとらんらんは背景知識があるのでなんとか理解した。

(つまり、狙われているのは二人ってことね)

「諸君、戦争が始まるゾ」

グルッペンが全員に呼びかけ、視線が集まった。

「ルスランドが神とやらを名乗っている可能性もある。そのため我々は、ルスランドに宣戦布告する！」