【d!】世界崩壊までのカウントダウン (ページ20)

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嘘ト約束　#2 ページ20

「何笑っとるん？」

兄さんの血のナイフがコネシマめがけて投げられる。兄さんの問いに、コネシマは答えない。

「コネシマは良い奴やと思っとったんやけど」

しんぺい神が目を伏せて言った。それを皮切りにまた攻撃が始まる。
はずだった。
今まで黙っていたオスマンが口を開く。その瞳には怒りと、呆れが写っていた。

「えぇかげんにしたらどうや？いま重要なことは？会議の意味は？それは議題に対してふさわしい決断か？」

攻撃をしようとしていた人たちの動きが止まる。コネシマも逃げるために発動させていた水のシールドを解除した。
オスマンの怒りはコネシマではなく、他の人に向けられていたためだ。

「アリスちゃんはこうなることを知っとったんやろ？でもそれを望んでると思うか？」
「それは……やけどコイツは」
「アリスちゃんは…コネシマは、一度でも裏切りをしたか？」

シャオロンの反論しようとした言葉にオスマンが被せる。ただただ問いかける。模範解答を彼は得ているにも関わらず、それでも自分で導けと言わんばかりに。オスマンは、仲間を信頼している。
だからこそ、答えを提示しない。

「二人は……俺たちのことを考えて全てを抱え込んだのか？」

グルッペンは自分自身に問う。答えはもうわかっているはずだった。

「アリスちゃんは言ったんや。仲間を信じて、裏切らないで。そう俺に伝えた。」

(あぁ、まったく。アリスはどこまで視えとるん？)

コネシマはグリムを助けたかった。そのために二人で背負うことにした。しかし、彼女は結局、コネシマが堕ちることを防いだのだ。
彼女には一体何が視えて、何が原動力だったのだろう。
しばしの沈黙の後、鬱先生がほっとしながら言葉を零す。

「じゃぁ、シッマは理由があって！」
「理由をどうぞ」
「うっ…詳しくはしらんけど、約束を果たしてくれる彼らについていくって言っとった。誰かまでは…」

トントンの圧力に負けてコネシマが口を割る。
つまり、少なくとも無理やり連れて行かれたわけではないらしい。

「ほっとしたような、くやしいような…」

エーミールが困ったように笑う。
グリムは彼らを信用すると同時に、自分たちと同じ、あるいはそれ以上の信頼関係があることになる。それをよく思うものなど一人もいない。

そう。グリムにとっての最大の誤算は、自分が彼らにとって重要な存在になってしまったということだ。