塩辛い料理に砂糖を加えたような短編集（NEWS） (ページ6)

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「うわっ、こんなに居るのかよ」

窓全開ということは合っていたが計算外だったのは、ドアの周りに見張りが居ることは……。

作戦変更！裏口から入ろう！その時……。

ガチャ。

あの人が裏口から出た。チャンスだ。鍵をかけていない。急いで裏口のドアノブに掴もうとしたとき、

「お前、誰だ？」

捕まった……。逃げ切るしかない。腕をさっと振り払い、相手の攻撃を必死に交わす。でも、俺の攻撃も交わされる。

ドンッ。

相手をまとめて向こう側に飛ばすことが出来た。長い足が役に立った。

ドアを開けて、Aがいる部屋を探す。

「A、A～」

どんなに呼んでも返事はない。2階の大きな部屋に真っ白なベッドが。そこにAは寝ていた。

「A、起きて。ココは危険だから逃げるよ」

どんなに揺らし起こしても目覚める気配は無い。まさか、死んでいるのでは……？

脈は正常だ。でも、そんなことよりもっとしたいことがあった。

「愛してる」

唇を重ね、髪を撫でる。

「ん……ううっ……」

Aはそっと目を開いた。

「A……！？」

「慶一郎……。怖かったよ～！ありがとう！ううっ……」

Aは俺に抱きついた。それほど、辛かった1週間だったんだ……。その時、

プルルルルルルルル……。

スマホの着信音が鳴る。

「はい」

「小山慶一郎さんですか？すいませんでした。被害者の痣は、事件の数日前のものでした。申し訳ありません」

「そうですか……？私の問題が解決して、良かったです」

電話をかけた警官は、『失礼しました』と言って、電話が切れた。

「慶一郎、ゴメンね。私、間違ってた。やり直してくれない」

「いいよ、俺、Aじゃないとダメだ」

そして、俺達はずっと抱き合った。大好きな、いや世界一愛しているAはずっと俺のそばにいてくれた。