塩辛い料理に砂糖を加えたような短編集（NEWS） (ページ4)

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翌日も明後日も明明後日も、俺は渋谷に向かった。そして、あの時間にスクランブル交差点を渡ると必ずAとあの男の人とすれ違う。

気が付いたらそれは日課となり、Aの存在がはっきりとある。

でも、2週間後……。Aの姿は見えなくなった。すれ違うのは、あの男の人。買い物袋を持って。
中には、カップラーメンが入っている。彼がそんなものを食べていたら、身体はがっしりしていないはずだ。

「なぁ、お前」

振り向いた途端、あの男の人に引っ張られた。ハチ公の銅像が目の前にある。

「最近よく見るが、俺に何か用はあるのか？」

「A、Aは……？Aとつい最近までは一緒に居たのに……」

本音が溢れ出す。

「意味分からねぇ……」

「俺、仕事あるので」

そのまま立ち去ろうとすると、

「痛ってぇ！」

その人はそっとズボンの裾をめくりあげた。膝に青い大きな痣が露わになる。

「誰か、あいつを捕まえろ！」

俺は無我夢中で逃げた。だが、捕まった。警察に逮捕され、色々と話を聞かされた。

「俺は、何もしてません。少し言い合いになっただけです」

本当のことを言っているのに、警察は全く信じてくれない。結果は、不起訴処分だった。理由は、証拠が不十分だから。

everyだって、降板になった。人生のどん底にいる気分だった。