1-4 ページ7
.
「A、お帰り。
どこ言ってたの？」
寮で同部屋の
二段ベットの下段に寝転んだまま
そう尋ねた。
「人に会ってきた。」
由「え、何！
もう彼氏できたの！？」
「そんなんじゃないよ。」
由「え、でも男の子でしょ？」
由美はそう言って
私の着ている服を指差す。
由「いや、怪しいと思ったんだよね。
学校から帰ってきたら
急いでお洒落な服に着替え始めるから。」
由「彼氏じゃないなら
好きな人…とか？」
「ううん、知り合いの好きな人。」
これは嘘にはならないよね？
まあ ' 知り合い ' って部分は
私と彼女の間柄には合わないけれど。
そっか、と煮え切らないように言った彼女は
ハンガーにかかった制服を見ながら
由「明日も学校か。」
なんて呟いた。
「学校、嫌い？」
由「別に嫌いじゃないけど、
入学して3日しか経ってないのに
クラス内でバチバチし合ってる人達がいるの。
なんか、くだらないなって。
中学生みたいなこと、
高校に入ってまでやるの？って思う。」
「人間って簡単には変わらないからね。」
由「哲学者みたいなこと言うね。」
少し笑ってそういう由美に
確かに、と私も微笑んで返す。
人間なんて、そんなものだ。
変わろう、変わろうって思っても
結局、自分の根底にある部分は
どんなに頑張ってもビクともしない。
私のように
根元が腐ってる人間は
いつまで経っても腐ったまんま。
変わることを諦めたのはいつだったかな。
自分と向き合うことから避けて
取り繕った仮面をかぶって
本当の ' 私 ' を押し殺した。
その方が楽だと思った。
感情など捨てて
ただ時間が過ぎるのを待つだけなら
苦しくない。
傷つかなくて済む。
由「Aは？白崎高校はどう？」
「普通かな。」
由「いいなあ、共学。
制服で選んだの、失敗したなー。」
羨ましいと嘆く由美こそが
王華女学院の生徒。
私も本当はそっちに行きたかったんだけど
私立の授業料を払う余裕はなかった。
由「ここらへんの土地慣れた？」
「んー、ぼちぼち。」
由「なんでわざわざ都会から
こんな田舎に一人で来たのよ。
この街ってそんな魅力的？」
「うん、とても。」
由美は納得のいかない顔をする。
魅力的に決まってるじゃない。
だって
彼がいるもの。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1603人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
７(プロフ) - もしかしてなんですけど、野いちごの落下星というお話を読んだことがありますか？una〜を読んでいた時から、もしかしてそうかな？と思ってて…違ったらごめんなさい。応援してます^_^ (2021年5月2日 12時) (
レス) id: 44cb1f98b1 (このIDを非表示/違反報告)
なー - 待ってました！ (2019年5月1日 19時) (レス) id: 6ee6b823e5 (このIDを非表示/違反報告)
L a L a .(プロフ) - 浮所くんと恭平くん出るのが楽しみです！いつか道枝くんのお話書いて欲しいです(Ｔ＿Ｔ) (2019年2月8日 17時) (レス) id: 7c3a66f9a0 (このIDを非表示/違反報告)
茅桜(プロフ) - Una rosa roja大好きなので、kipiさんの新しいお話が読めて嬉しいです！大好きな恭平くんも出てくるみたいなのですごく楽しみです！これからも無理せず更新頑張ってくださいね！ (2019年2月8日 1時) (レス) id: 18f1934dc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Kipi
| 作成日時：2019年2月7日 23時
