side 高地 ページ30
違和感。
それがこの家と緋織の第一印象。
1人で住むには広すぎる家。
静まり返った家の中で自分たちの足音が嫌に目立つ。
サクライさんという綺麗な人は緋織のお世話係だという。
どんなトンチンカンでも
緋織が何か俺たちとは違う経験をしている事は明白だった。
人の事はあんまり詮索なんてしたくない。
だけど、見るからに緋織は俺たちに気を遣っていて。
多分、これはみんな肌で感じてたと思う。
緋織は両親がいない、そう言った。
こんな静かで物音１つしない家に
彼女は1人暮らしている。
きっとサクライさんは一緒にご飯を食べたりはしないだろう。
こんな広い部屋で、緋織は1人で食べてるに違いない。
そんなの、寂しいじゃんか。
俺、すごいお節介かもしれないけどさ。
ひとつ、言ってみるのもアリかな？なんて。
緋織が夕飯を作ってくれている間、
俺はみんなにちょっと提案をしてみた。
「ね、みんなさ、今日緋織ん家泊まらない？」
北「は！？」
北斗は即座に俺の方を向いて「何言ってんだお前」って
顔したけど、本当は緋織の事1番気遣ってたの、
北斗だって俺たち分かってるよ。
だって、あの時、
「ここに1人で寂しくないか」って言おうとしたんでしょ？
サクライさんが戻ってきて遮られちゃったけど。
ほんと、北斗って間が悪いっていうか…。
ジ「yeah〜‼‼なになに合宿？合宿しちゃう？」
慎「なになに、修学旅行！？」
樹「馬鹿、はえーだろ！」
ジ「馬鹿じゃねーよ！流石の俺もよぉ！」
樹「馬鹿！誰がお前の事言ったよ！」
ジ・慎「えっ？今……」
樹「あーもう面倒くせー！！！！」
ジ「AHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!」
なんやかんやでみんな笑ってるし。
まぁ俺たちはみんな、
緋織の為ならいつまでも待てるよね。
これからも俺たちはこのまま、
毎日バカやって笑ってるだろうし。
変わらず気長に待とうじゃない。
き「緋織、泊まらせてって言ったらどんな顔するかな？」
樹「さぁ？でも言い出しっぺ高地だからなー」
ジ「いやーん、やらしい〜コーチ〜」
「お前っ！そーゆー事じゃねーだろ！？」
…俺、いつまで弄られるんだろ？
そこだけは変わっておきたいかも。
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作者名：hiori | 作成日時：2019年10月3日 2時
