お友達 ページ28
翔「緋織さん、俺お茶入れてきます」
「あっ！翔さん、あたしやります！」
翔「いいから、ご友人達と居てください」
「ありがとう…」
いつもなら翔さんは送迎だけして会社に戻る。
だけど何かと身の回りの世話をしてくれる翔さん。
今では"普通の"兄のような、時々父のような人。
みんなを1番広い部屋に案内して
「何もないけど、ゆっくりしていって」と言うと
ジェシーが大声で言った。
ジ「緋織って何者！？」
慎「俺も思った！こんなデカい家ある？門とかヤバくなかった？」
樹「いやーあれはヤバかったね！俺富豪になった気分だもん」
いやーそれな！とみんなが次々に喋りだす。
あたしは乾いた笑いしか出せず、
1人ソファに座ると小さく息を吐いた。
北「…お前さ、ここに」
私の座るソファに近づき北斗が何か言いかけた時、
翔「お待たせしました」
翔さんがサービスワゴンにドリンクとお菓子を乗せて
部屋に戻ってきた。
翔「みなさんお好きなものをどうぞ」
高「ありがとうございます…！」
みんながそれぞれ好きなものを手に
テーブルの周りを囲む。
き「さてと。始めますか」
慎「俺、暗記ものが全く頭に入ってこない」
樹「俺、英語全然分かんないんだけど」
ジ「俺とか何が分からないのかがもう分かんない」
北「ジェシー絶望的だな」
みんなが教科書やノートを開いて
各々勉強を始めていると、翔さんがこっそり耳打ちした。
翔「お友達、出来て良かったね」
「…ありがとう」
翔さんはあたしの頭をポンポン、と軽く触ると
時計を見て「そろそろかな」と呟いた。
翔「みなさん、それでは私は失礼します
お勉強、頑張ってくださいね。
お帰りの際はみなさん気をつけて。
では緋織さん、また明日」
それだけ口早に言うと、翔さんは部屋を出て行った。
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作者名：hiori | 作成日時：2019年10月3日 2時
