孤高のアネモネ【HokutoMatsumura】 (ページ27)

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side 北斗ページ27

ジェシーがアホな事を言い出して、
期末へ向けた勉強会とやらを緋織の家でする事になった。

緋織は教室の隅で、誰かに電話している。
ホッとしたように俺たちの所に戻ってくると、

緋織「車、みんな乗れるみたいだから裏門から行こ？」

安堵の表情でそう言った。

裏門に行く途中、高地ときょもが
「やっぱあの人いるのかな？」と俺の後ろで話していた。

サクライ、そう名乗っていた男。

爽やかで、いかにも仕事が出来る感じの

何だか悔しいけどカッコイイ人だった。

俺の前ではジェシーと慎太郎が緋織に
今日の1番面白かったネタを大声で話していて、

緋織も楽しそうに笑って聞いている。

体育祭の時、サクライって人が来た時は
顔面蒼白になるぐらい動揺してたのに、
今の緋織は全くそれがみられない。

と、言うことは

あのサクライって男は別に悪い奴じゃないんだろう。

体育祭の時。

両親がいない、と言った緋織。

サクライの言った"会長"という言葉。

"会長"と緋織が何らかの関係性があるのは分かる。

けど、サクライは？

あの時樹に、

"緋織さんから何も聞いておられないようですね？''

そう言ったサクライ。

誰よりも緋織を知っていて、

誰よりも緋織が信頼している人物。

体育祭でサクライは去り際、緋織へ何か囁くと

緋織越しに俺へ視線を投げた。

ぶつかる視線の先でサクライは

俺を射るような目で数秒見続けた。

あれは牽制なのか

それとも…品定めでもされたのか。

何となく、サクライが気に入らない。

緋織「…北斗？」

いつの間にか俺の顔を覗き込むように

緋織が俺の前にいた。

緋織「難しい顔してどうしたの？」

「…別に？」

「そっか」と言うと緋織は俺の腕を取り、
いつの間にか先にいるみんなとの距離を
ぐいぐい縮めていく。

緋織「もう少し待っててね」

歩きながら緋織が唐突に言った。

訳がわからず、黙っていると

緋織「ちゃんと言うよ、あたしの事。待ってて？」

俺の思考を読んだかの様に緋織は言った。

みんなの所へ合流し、俺の腕から緋織の熱が離れる。

「…待つよ」

俺は小さく呟いた。