熱、再び ページ23
高「あ、北斗！」
高地の声に反応して顔を上げると、
いつのまにか北斗のグループはスタートしてて
北斗がまっすぐあたし達の応援席に走ってくるのが見えた。
き「え、なんかこっち来てない？」
ジ「え！え！俺？借り物ってハーフとか？俺じゃね？」
樹「あ〜今年もね〜って、ばか！絶対ちげーわ！」
樹とジェシーがぎゃあぎゃあ言っていると、
北斗が応援席のすぐそばまで来た。
北「来い！」
慎「えっ北斗なんか言ってるよ！」
ジ「あっ！やっぱ俺じゃん！はいはいー！」
ジェシーが北斗のところに行こうとすると、
北「ちげーよバカ！お前だよ！！」
と北斗があたしを指差した。
「えっ、あたし？」
戸惑ってみんなを見渡してると、
しびれを切らした北斗が応援席までやってきた。
北「あーもう何してんだよ、行くぞ！」
そう言ってあたしの腕を掴むと
強引にグラウンドへ連れ出す北斗。
「えっ、ちょ、北斗！」
北斗の走るスピードが早すぎて、
足が絡まりながらついていく。
すると、
北「あ"ーもうめんどくせーな…っ」
突然視界が横に傾いた。
「えっっきゃぁっ！！」
びっくりしてすぐ近くにある"何か"を掴んで
顔を上げると目の前には北斗の横顔が。
「えっっっ、ちょ……ほ、北斗！」
北「お前遅いんだよ、やるからには一位とるぞ」
そう言って北斗はあたしを横抱きにしたまま
グランドを猛スピードでダッシュする。
びっくりしてあたしは北斗の首に巻いた手を
さらにきつく締めた。
"ゴーーール！！
一位は2年A組松村北斗と話題の美少女Aさんー！"
スピーカーから発せられた声と同時に
北斗はゆっくりあたしを地面に下ろす。
そして、あたしの頭をくしゃっと撫でると
北「体育祭、参加できたじゃん？」
とあたしをからかうように笑った。
午前中の、忘れかけてた熱が
再び体にじわじわ広がる。
みんなには感じない何かがあたしに熱を持たせてる。
1位の旗を貰いに行く北斗の背中を見て
あたしはふとした疑問を投げようとしたけど、
珍しく見る北斗の笑顔にまた顔が赤くなるのを感じて
顔を隠すようにその疑問は心に留めることにした。
ねぇ北斗、借り物ってなんだったの…？
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作者名：hiori | 作成日時：2019年10月3日 2時
