孤高のアネモネ【HokutoMatsumura】 (ページ22)

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伝統種目ページ22

借り物競争がスタートし北斗の出番まであと少し。

全クラス対抗だからか、何グループかに分けて行われる。

次つぎにそれぞれの用が終わったみんなが戻ってきて、
列に並んで待つ北斗に頑張れー！と声をかけていた。

あたしも応援席から「北斗ー！」と叫ぶけど頑なに無視。

高「あーあ、北斗照れちゃってー」

「え、コーチ、あれで北斗照れてるの？」

高「そうだよ、北斗は照れ屋さんだからねー」

「ふーん…」

"では！借り物競争第1グループ、スタート！"

一斉に動き出した選手たちは、
応援席や保護者席に駆け込んで行き、
マッチョな人居ませんかー！？今月誕生日の人！など
叫んで探し回っている。

探し物というか、探し人…

唖然としてあたしは隣にいる彼に聞いてみた。

「ねーね、きょも、これ借り物競走だよね…？」

き「そうだよー出なくて良かったでしょ？緋織」

「う、うん…」

目の前に広がる光景を目にして
思わず安堵の溜息が出た。

ほかにどんな借り物が書かれているのか
生徒たちは四方八方を走り回り、校舎に行く人もいれば
生徒同士で奪い合いになってたり…

なんかもう、カオスだ。

「なんかもう、なんでもありだね、これ」

樹「毎年こんなもんだよ、もううちの伝統種目なのよ」

「よくそれでシード権とか取れたね、きょも」

き「だって俺、借り物で当たったことあるのが

ハーフの人とか兄弟が5人いる人とか…」

「それってジェシーと樹じゃん…」

慎「きょもはくじ運半端ないんだよね」

「…北斗、大丈夫かな…」

みんなの話を聞いて少しだけ心配になった。

だって北斗、
なんとなくだけどくじ運無さそうだもん。