孤高のアネモネ【HokutoMatsumura】 (ページ3)

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新天地ページ3

「緋織さん、俺はこれで。」

「はい、ありがとうございます。」

「お気をつけて、緋織さん。また夕方に。

…あと、俺も敬語いらないよ。」

校門の前で車を止め、降りたあたしに
翔さんは窓から顔を少し出して優しく微笑んだ。

「…うん…行ってくる…。」

見送る翔さんを背に真っ白な建物へ歩き出す。

振り返るとまだ翔さんは車の窓からこっちを見ていて、

あたしが小さく手を横に振ると、

翔さんは軽く手を挙げてから車を発進させた。

睦石学院、ここが今日から私の通う学校。

名門と言われ、有名人も多く輩出してると聞く。

だかここは元・男子校。

2年前、共学にしたものの
女子学生の数は数えるほどで
ほぼ女子はいないらしい。

「とりあえず、職員室…」

学校案内の掲示板をみて職員室を探し
なんとか行き着き名前を告げると
担任の先生らしき人が出てきた。

「よう、お前が期待の女子学生か。」

「え、あ…はい、多分？」

「多分？ってお前、この変な時期に転入してくるやつは2人もいねーよ」

「……」

「ところでお前、編入テスト満点だったらしいな？」

「え、はい…そう聞いてます…」

「ほーう、うちそこそこ難関なのにな、すげーな！」

先生にしてはフランクなその人は
なんの説明もないまま職員室を出て
階段を登って行った。

「え、ちょっと、先生？？」

「何ぼさっとしてんだよ、教室行くぞー。」

どんどん大股で先を行く先生は
あたしのことなんか構わず鼻歌なんて歌ってる。

先行きが不安だけど、付いていくしかない。

「はぁ。」

自分の軽いため息が重く感じた。