最後が肝心。 ページ7
東京22期
ナ踊/nkn
「はぁ？！」
「なかるてぃんうるせぇ！」
といういつもは舞台上でしか出さないようなバカデカ高ボイスが楽屋に響いたのがほんの5分前
相方から聞いた、それは「Aが作家の人と付き合ったらしい」という史上最悪のニュースだった。
舞台前だし、そもそも楽屋だし、僕が元々好意を抱いていただなんて知れ渡ったら楽屋中のイジりが僕に向くことなんて決まりきっている。
幸い、早い時間だったから楽屋に人が少なくて助かった。
咄嗟に「そ…そっか、良かったんじゃない？あいつ長いこと彼氏いなかったらしいし」なんて誤魔化したけどもちろん本当はビビっていたし、今でもビビってる。
「何？なかるてぃんビビってんの？もしかして好きだったとか？まぁありそうだとは思ってたけど」
「うるさいってほんとに…」
「おはようございます、よろしくお願いします」
そんな話をしていると、話題の彼女が楽屋に入ってきた
「あ、中野くんとヤスくんだ、おはよう」
なんていつもの笑顔で声をかけてくるし
「そういえば中野くんそろそろ誕生日だよね。今度渡したいものがあってさ。どっかで夜、ご飯行けないかな」
とか、普通に誘ってくるし、誕生日だって毎年律儀に祝ってくれる。
金髪にした時だって一番最初に褒めてくれたし、セットやヘアケアのアドバイスをくれたのもAだった。
「…こりゃなかるてぃんもなかるてぃんで可哀想だな、なんか。」
「言わないでくださいよ」
Aのしていることは明らかに「思わせぶり」に入ることだと思う。
でも、Aには彼氏がいるらしい。
じゃあ一体なんだったんだよあれ。
しかも後から調べたらそのAの彼氏って言われてる奴はまだまだ駆け出しの作家だった。
絶対僕の方がスペック高いし。
歴的にもそいつは下だ。
なんだよ、僕の方がAのこと絶対知ってるじゃん。
絶対僕の方がAのこと大切にできるじゃん。
まぁ、僕はAからすれば所詮ただ少し仲がいい同期で、彼氏なんかじゃなくて、2人に対してなんか言う権利なんて無いのだけれど。
「あー、もうほんっとに…」
話くらいは聞くよ、面白そうだし。と言われてヤスさんに連れられたカフェでひとり、悶絶しながら頭を抱える。
ちなみに誘った本人のヤスさんはとても愉快そうな顔をしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
輝(ｶｶﾞﾔ)(プロフ) - カンナさん» コメントありがとうございます🙇♀️「最後」っていうのの脆さ(？)が合うな〜と思いまして書かせて頂きました！めちゃくちゃ嬉しい…こちらこそ本当に読んでいただいてありがとうございます😭 (2月14日 2時) (
レス) @page3 id: 32eefe209c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - クリープのこの歌好きなので当てはめてもう一度読むと心がぎゅっとなりました、ありがとうございます… (2月13日 2時) (レス) @page3 id: e855b28e33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：輝(ｶｶﾞﾔ) | 作成日時：2024年2月10日 1時
