# 温もりを噛みしめて ページ19
翔太 side .
「 ごめんな。ありがとう。」
宮舘「 俺はいいけど、
体調落ち着いたらちゃんと話せよ。」
「 うん、分かってる。」
しんどいのか疲れたのか、
俺と話してしばらくしたら
また眠りに落ちたA。
涼太にお礼を言って、
タクシーで家に連れて帰ることにした。
「 A、背負うよ？」
『 ん…。』
何の抵抗もないまま持ち上げたAは
随分前に背負った時よりも
なんとなく軽くなった気がして、
そんなことにも
気付けなかった自分は情けない。
.
マンションの近くで降ろしてもらって
再びAを背負う。
涼太の服を着てることも、
そこから香ってくるのが
いつものAの匂いじゃないことも、
今はなんとも思わないぐらい
ただ、Aの存在が愛おしかった。
背中に感じる高い熱が
俺のそばにいてくれることを教えてくれて。
.
『 ……しょうたくん、』
マンションまで帰る途中、
耳元から聞こえた小さな声。
「 どうしたの？」
『 ごめんね…。わたし、…ふあん、だった。』
「 不安…？」
『 うん…。わたしのことみたら、
おねえちゃんのこと、おもいだして、
しょうたくん… つらくなってないかなって…。』
その言葉に
Aと付き合い始めた頃を思い出す。
キッカケは、もちろん
Aの姉である俺の元カノの死。
あの時、お互いの喪失感を
ただただぶつけ合う毎日の中で
俺はAに心を惹かれ始めた。
双子だから顔はもちろん、
性格だって話し方だって
どこか彼女に重ね合わせてたのかも知れない。
それでも、Aにしかない
優しさには何回も助けられた。
自分だって家族を亡くして辛いのに、
いつも俺のことを心配してくれて。
…その時、思ったんだ。
彼女が妹のAを大切にしてたように、
俺もAを大切にしたいと。
「 …俺は幸せだよ。
Aがそばにいてくれて、幸せ。」
『 そっか… よかった…。』
.
家に着いて、
そのままAをベッドに寝かせる。
その寝顔は、
さっきよりも安心したように優しかった。
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まるめ(プロフ) - ページを進める手が止まらなかったです！面白くて！他の作品も読ませていただきますね。 (2020年4月16日 18時) (
レス) id: 1093df9400 (このIDを非表示/違反報告)
りんめ(プロフ) - 舘様担当な私にとっては複雑でしたが、凄い面白かったです！続編気になるのですぐ読み終わりそうです (2020年3月23日 12時) (レス) id: 4b98987653 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - 続編ありがとうございます。ずっと応援しているので、頑張ってください。 (2020年3月16日 19時) (レス) id: 0eec77d339 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - すごく大好きな作品ですっ！続編があったら嬉しいです！ (2020年3月12日 18時) (レス) id: 8620bd5173 (このIDを非表示/違反報告)
赤い天使(プロフ) - 最初から最後までめっちゃ面白かったです！次回作も読ませて頂きます！！ (2020年3月11日 22時) (レス) id: bc3d7dc988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：望穂
| 作成日時：2020年3月5日 18時
