#15 兄は褒められたい ページ15
***
「私はね、日に日にAの信頼が欠けていってると思うのだけど」
Aさんがお手伝いで無い日。
太宰さんは僕・敦にそう告げた。
「………何でだと思う?」
太宰さんは、本当に分からないとでも言う様に僕を見つめる。
否、聞かなくても分かるでしょ。
それが僕の本音だった。
太宰さんはいつも妹であるAさんに、
しつこい程にくっつき、話し、またくっつく。
Aさんには、いつも滅茶苦茶色々な罵倒されているにも関わらず、気にせず続ける。
それが原因だと、誰しも思う。
「あれ………じゃないですか?」
「如何?」
とてもじゃないが、言いづらい。
「いつものくっつき過ぎとか。
仕事のやらなさ過ぎとか………では?」
太宰さんは目をパチクリとさせた後、呟く。
「それも……そうだね。
Aにくっつかないというのは無理だが、
Aの信頼を得る為ならば私はいくらでも仕事するよ」
太宰さんはみるみる明るい表情へと変わっていった。
***
私の目はどうやらとうとう終わったらしい。
何故なら幻覚が見えているから。
今日は、武装探偵社の手伝いの日。
そしてやって来ればあの兄が仕事をしているではないか。
あの兄が!サボり魔の兄が!
真剣という言葉が合う程にしっかりと。
否、何かもう吃驚とか以前に心配になってきた。
大丈夫そう?あんなに仕事して。
いつもぐらいサボってくれた方がなんか気を使わないのだけど?
すると、兄は私を見るなり手を止めて此方へ来る。
えっ、何々。怖い怖い怖いこわ。
「A」
『はい』
「私、仕事したよ」
『…はい』
見れば分かるだろ。何かあるのか?
「……ご褒美とか、ほしーなー……みたいな……」
成る程。見返りはそれね。
『否、無理です。そもそも仕事は就いた限りやるものだから。1ヶ月頑張ってそのご褒美がお金だから。どうしても欲しいなら私ではなく、社長の元へどうぞ?』
「少しくらい認めたって良いじゃんか!!」
『何をよ!?』
結局、兄は私にいつも通り抱き付き、仕事はしない。任務は行かない。手伝わない。
国木田さんの胃の穴の為にも、
頑張ってほしいと密かに願う。
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新・太宰の包帯希望者 - 完結おめです!作者様の小説神すぎてもう明太子になりそうです)))前の端末壊れたのでここで書きますね!様々な面で頑張ってください! (4月9日 12時) (レス) id: 510377e956 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆(プロフ) - 敦くんのほうの話でもコメントさせていただいたんですけど、本当にそこら辺の壁さんの作品は見るのが楽しくて、私の癒やしでした。最後まで面白い作品をありがとうございました。もし帰ってこられたら、またそのときは読みたいと思います。 (4月8日 18時) (レス) @page29 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!そして数々の神作品をありがとうございました!!またいつでも書いてください!!絶対読みます!!! (4月8日 18時) (レス) @page29 id: 140287e0ee (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 6枚切りさん» いえいえ〜!気にいって頂けて良かったです!ありがとうございました! (3月29日 6時) (レス) @page16 id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
6枚切り - そこら辺の壁さん» ありがとうございます!!最高でした😭🙏また機会があればお願いします!!! (3月28日 14時) (レス) id: ef31847629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そこら辺の壁 | 作成日時:2024年3月16日 9時